炭素の単層シートであるグラフェンとその酸化物であるグラフェン酸化物(以下、GOと記す)は、その物理的・電気的・光学的特性から、様々な用途への展開が検討されている。GOは、グラフェンを酸化することで調製される。酸化によりカルボキシル基や水酸基等の官能基がGOに導入されることから、GOは比較的高い水溶性をもつ。このような水溶性をもつナノ界面材料は谷はほとんど例がないことから、GOのバイオ分野への応用が注目されている。例えば、GOが様々な生体分子を吸着して蛍光を消光することを利用するバイオセンサーが数多く報告されている。しかし、生体分子のGOナノ表面における分子物性や、GOに対する吸着挙動はほとんど明らかではない。 そこで本研究では、(1)核酸のGOナノ表面での物性を解明するために、ナノ界面という特殊な分子環境である非理想溶液中での核酸の定量解析を行った。その結果、ナノ表面をはじめとする非理想溶液中では、核酸構造の非塩基対部位が全体構造やその熱力学的安定性に重要な役割を果たすことが示された。これらの成果は、掲載されたジャーナルの当該号の背表紙を飾り、新聞紙面においても。さらに、(2)GOナノ表面と核酸の吸着挙動を熱力学的・速度論的に解析すると同時に、その知見をバイオセンサーの構築に展開した。その結果、GOと核酸の吸着機構が示唆された。さらに、これらの知見を基に様々なタイプのバイオセンサーも構築できた。
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