研究課題/領域番号 |
24350092
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
高橋 光信 金沢大学, 物質化学系, 教授 (00135047)
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研究分担者 |
前田 勝寛 金沢大学, 物質化学系, 准教授 (90303669)
桑原 貴之 金沢大学, 物質化学系, 助教 (80464048)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 太陽電池 / 高分子合成 / 再生可能エネルギー / 高分子構造・物性 |
研究概要 |
本研究の目的は、素子開発グループと高分子材料合成グループの綿密な共同研究により、高性能有機薄膜太陽電池を開発するための汎用性の高い基盤技術を確立することである。以下の(1)~(3)の項目について取組み、逆型有機薄膜太陽電池の高性能化のための基礎的知見の導出を目指した。(1)新規ナローバンド共役高分子の系統的合成およびキャラクタリゼーション、(2)項目(1)の新規高分子をドナー材料として用いた逆型有機薄膜太陽電池の作製および分子構造/モルフォロジー/変換効率の系統的評価、(3)製膜プロセスの検討による光電流取り出しに適した有機発電層のモルフォロジー制御 その結果、以下の知見が得られた。(1)BDTユニットに導入するアルコキシ草知りキラリティーを制御することで、ホール移動度を向上することができた。(2)これまで用いてきたBDTユニットをDTSユニットに置き換えることで、材料の安定性が向上するだけでなく、広範囲の波長の光を効率的に吸収できるようになった。(3)ドナー高分子の物性の違いのために、アクセプターであるPCBMと混ぜた際の有機発電層のモルフォロジー変化の傾向が大きく異なる。したがって、用いたドナー高分子に適した製膜条件の検討及び制御が重要であることがわかった。(4)56π系フラーレンをアクセプター材料に用いることにより、LUMOが高くなり、従来のPCBMより開放電圧が約200mV向上することが逆型有機薄膜太陽電池でも確認することができた。(4)効果的な電子捕集層の開発にあたり、製膜条件の検討を行った結果、紫外光なしで有機薄膜太陽電池が駆動する低温プロセスで作製可能な電子捕集層(ZnO)を見出すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、素子開発グループと高分子材料合成グループとが一つの目的に向かって、共同研究をスタートさせた。 その結果、幾つかの新規ドナー共役高分子の創製と素子への応用を開始でき、高性能な逆型有機薄膜太陽電池構築のための基盤技術の確立に向けだ良好なスタートとなった。これを受けて、達成度(2)と自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
有機発電層からn型無機半導体へのスムーズな電子移動界面、並びに有機発電層から導電性高分子PEDOT:PSSへのスムーズな正孔移動界面を構築して、初年度の知見を重ね合わせることによって、新たな高性能ドナー共役高分子の設計方針を再検討し、新規ドナー材料を創製する。また、素子の交流インピーダンス法による積層界面の解析や発電層モルフォロジーの撮影を通して問題点を洗い出し、高性能なドナー材料創製と素子作製の注力ポイントとしてフィードバックさせる。
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次年度の研究費の使用計画 |
新規ドナー共益高分子の創製が順長に進んだため消耗品の費用が予定より少額でまかなうことができた。25年度は新規ドナー材料の創製のための消耗品の購入に充てることとする。
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