研究課題/領域番号 |
24350095
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
西原 禎文 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00405341)
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研究分担者 |
帯刀 陽子 山形大学, 理工学研究科, 助教 (30435763)
綱島 亮 山口大学, 理工学研究科, 助教 (70466431)
戸川 欣彦 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00415241)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ポリオキソメタレート / 誘電体 / 磁性体 / 結晶構造 / 分子素子 / イオン移動 |
研究概要 |
本研究では,2つのイオン安定サイトを有したリング型ポリオキソメタレート(POM)分子を用い,POM内のサイト間イオン移動を利用した新規物性の創出を目指している. 当該年度は,空気中に安定で,かつサイト間移動が期待できるテルビウムイオン(Tb3+)包接POM(Tb-POM)を中心に研究を行った.また,参照物質としてイオン移動が期待できないナトリウム(Na+)包接POM(Tb-POM)を用い,これらを比較することでイオン移動機構の解明を行った.実際, IRの温度依存測定では,Tb-POMではイオン移動に由来するピークシフトが観測されたのに対し,Na-POMでは温度低下で明確なピークシフトが観測されなかった.加えて,誘電率の温度依存測定では,Tb-POMではイオン移動に由来する周波数分散が観測され,イオン移動の障壁エネルギー及びブロッキング温度の見積もりに成功した.一方,Na-POMではイオン移動に由来する周波数分散が観測されなかったことから,Tb3+イオンのイオン移動に関して確信が得られた.現在,SHGの温度依存測定,及びP-Eの温度依存性を測定しており,新たなタイプの誘電材料開発を目指して取り組んでいる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
昨年度内に,空気中で不安定なポリオキソメタレートを改良し,極めて安定な分子が得られた為に,本年度は計画通りに研究を進めることができた.これに伴って,当該研究の最も重要な目的である結晶内イオン移動を裏付ける結果が多く得られている.また,現在行っているSHG,P-Eの温度依存性測定からは当初の予想を上回る結果が観測されているため,分子素子としての可能性が広がった.これらのことから,当該年度は「当初の計画以上に進展している」に該当すると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
当該研究は当初の研究計画を十分に上回っていることから,計画変更することなく進めていく.特に,これまでに得られたイオン移動の結果をまとめていくと共に,分子素子への展開に重点を置いて研究を遂行する予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度,当該研究が当初の計画よりも進展し,新たに得られたデータ解析や取りまとめに時間を費やした為,旅費が次年度使用額となった. 次年度の予算は主に,研究成果発表用の旅費として使用する.
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