研究課題
イオン移動型結晶とは結晶内で「局所的なイオン移動」が可能な系を指しており,一次元以上のイオン伝導パスを有したイオン伝導体もイオン移動型結晶に含まれる.本研究では,分子内に2つのイオン安定サイトを有したリング型ポリオキソメタレート分子(POM)を用い,分子内のサイト間イオン移動を利用した新規物性の創出を目指して行う.当該年度は,POMサイト間移動が期待できるテルビウムイオン(Tb3+)包接POM(Tb-POM)を中心に研究を行った.また,参照物質としてイオン移動が期待できないナトリウム(Na+)包接POM(Na-POM)を用い,これらを比較することでイオン移動機構の解明を行った.具体的には,誘電率測定,IRスペクトル測定,P-E測定,分極測定,NMR測定によってイオン揺らぎの観測と,それに伴う誘電特性を評価した.例えば,イオン移動が期待されるTb-POMでは誘電率測定からイオン揺らぎに起因する周波数分散が観測され,得られた値から2つのサイト間のエネルギー障壁およびブロッキング温度を算出した.また,IR測定からイオン停止温度を見積もり,これが誘電率測定から見積もった値と一致することを確認した.更に,P-E測定からはイオン停止温度付近でのヒステリシスが観測されたほか,ポーリング処理後の分極測定から強誘電的な振る舞いが観測された.以上の結果,分子内でのイオン揺らぎに起因する強誘電性を確認し,新しいタイプの強誘電体の創出に成功した.
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014
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