研究課題
基盤研究(B)
一次元構造に加工した分子ワイヤを用いて多値論理素子を開発することを本課題の目的とする。そのためまず閾値電圧の異なる複数の分子ワイヤトランジスタを共通のソース・ドレイン電極に並列接合する。次にそれぞれの分子ワイヤに個別にゲート電極を接合させた素子構造がこの特長となっている。ここでは分子ナノワイヤの形状加工とそこへの正確な電極配線が最も重要かつ困難な課題となることが予想される。そこで平成25年度にこれら要素技術の確立に注力した。基板は平坦性に優れなおかつ有機材料との密着性が高いことが必須となるため、熱酸化膜(SiO_2)付きSi基板を用いた。高分子半導体はトランジスタ材料として機能することが知られているポリチエフェンやポリアニリンを取り上げた。ナノインプリントを用いた一次元構造加工ではモールドの設計と作製が重要となる。これはNIMSにある電子線リソグラフ装置などの共通設備を活用して依頼作製した。具体的には直径100nm、長さ40μmの分子ワイヤについて、単一ワイヤ、複数ワイヤ、枝分かれ構造ワイヤ、幅広ワイヤなど様々な構造を持った分子ワイヤを作製できるようSi基板にモールド構造を加工した。このモールドを用いてナノインプリントか好条件の最適化を進めた。具体的にはプレス圧.温度・プレス時間の最適化が重要となる。いくつかの実験条件を変えながら加工実験を実施したところ、いずれの高分子材料でもワイヤ状に加工できることは確認した。今後はその後のエッチング条件を最適化して残留物の除去を進める必要がある。平成26年度以降はこれら分子ワイヤと電極との接合技術を確立してデバイス動作の探索に移行する。
2: おおむね順調に進展している
分子ワイヤの加工技術についてはおおむね目処が立ち、当初の予定通り進んでいると言える。しかしその後のエッチング条件の最適化が未達成であり、翌年度以降の課題となっている。
ナノインプリント加工後のエッチング条件の最適化を達成し、ワイヤと電極の接合技術の確立に移行する。
ナノワイヤ構造加工条件の最適化に予想以上の時間を要したため、研究補助員の雇用を見送った。その後の経緯から当初の予定通りの進捗となったため改めて研究補助員を雇用して研究の促進を図る。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件)
Journal of Applied Physics
巻: 113 ページ: 0837081-0837086
10.1063/1.4793283
Nanoscale Research Letters
巻: 5 ページ: 4691-4695
10.1186/1556-276X-7-469
Applied Physics Express
巻: 5 ページ: 0950031-0950033
10.1143/APEX.5.095003
Japanese Journal of Applied Physics
巻: 51 ページ: 06FA011-06FA017
10.1143/JJAP.51.06FA01