【研究目的】本研究は、メタロ超分子ポリマーの導電機構を解明し、RAM機能を有する不揮発性メモリを開発することを目的とする。具体的には、金属イオンや有機モジュールの異なるメタロ超分子ポリマーを用いることで、ポリマー鎖内及び鎖間の電子移動過程を解明し、低電圧かつ高速で駆動する不揮発性メモリデバイスを開発する。 【平成25年度研究実績】これまでに、コバルトイオンからなるメタロ超分子ポリマー膜のI-V特性を測定し、5Vで電流の可逆なスイッチング変化が起こり、これにより不揮発性メモリ特性が発現することを明らかにしている。昨年度は、ジアミノ部位を有するコバルト錯体を合成し、これとジアルデヒドを脱水縮合させることで、コバルトイオンを含む新しいメタロ超分子ポリマーを合成した。同様の縮合反応により、鉄イオンを含むメタロ超分子ポリマーの合成も達成した。平成25年度は、金属間相互作用を確認することができる新しいメタロ超分子ポリマーの開発を目的として、非対称型の有機モジュールを設計・合成することで、銅と鉄といった異なる2種類の金属イオン種を主鎖に含むメタロ超分子ポリマーを開発することに成功した。得られたポリマーのサイクリックボルタンメトリーにおいて、銅及び鉄の酸化還元に基づく可逆なレドックス波が観測された。また、銅のみ、あるいは鉄のみを含むメタロ超分子ポリマーを別途合成し、それらの酸化還元電位と比較することで、銅と鉄の両金属イオンを含むポリマーにおける異種金属イオン間の電子的相互作用の存在が明らかになった。
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