研究課題
有機トランジスタを用いた高速有機回路を構築する上で重要となる、短チャネル有機半導体トランジスタの高速応答特性、動的なキャリア伝導機構を明らかにすることを目的とし、その過渡応答特性を評価した。溶液を一方向に乾燥させる独自の塗布法を用いて、単結晶likeな有機結晶半導体膜を作製し、この有機膜上で微細加工を行うことにより、短チャネルかつ高移動度の有機トランジスタを構築した。また、3次元立体構造上で、フォトリソグラフィを用いた立体的な微細加工を可能とすることによって、短チャネルの3次元有機トランジスタを安定して作製することができた。これらの短チャネル・高移動度有機トランジスタを用い、そのチャネルデザインを変化させて高速整流特性を評価することにより、従来一般的に用いられている遮断周波数の理論式よりも、非常に速い整流応答特性が得られることを明らかにした。高速応答性能については、従来の報告例よりも格段に高速となる20MHz以上の遮断周波数や、80 MHzでの整流特性等、世界最高性能の有機トランジスタ動作を実証した。また、高速整流特性について、チャネル形成のために必要な時間応答性能の計算を行い、実験とほぼ一致する計算式を提案した。これらの結果は、将来の有機エレクトロニクス、有機演算回路の実現のために、非常に重要な基礎データとなるものであり、得られた知見により、有機トランジスタを用いたフレキシブルな高速論理素子の研究開発の進展を加速させることができる。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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