研究課題
ナノスケールでの組織化がチューリングの反応拡散機構によると推定されたZnO/ローダミンBハイブリッド薄膜電析系に集中し、検討を進めた。しかし、再現性に著しい問題を生じ、実験条件を見直す必要に迫られた。条件と得られる膜構造との関連を子細に調べたところ、酸素飽和に用いるガス噴射管を電解液に深く挿入し、電解液バルク中に酸素の気泡が大量に含まれる時に所望の構造が得られる事に気づいた。そこで、セル底部に大型のガラスフィルターを配置し、微細な気泡中に電極を設置して、酸素気泡によって物質輸送を制御するバブルバス型電界装置を新たに構築し、実験を進めたところ、極めて再現良く均一なチューリングパターンが得られる事を発見した。ローダミンBが高い界面活性を持つことは従来分かっていたが、そのために酸素気泡が安定化され、従来用いていたRDE型電界装置においても電解液は酸素気泡に満たされていた状態にあった事が分かり、同時にこの酸素気泡の存在が製膜において極めて重要であることが判明した。酸素気泡を極力排除しようとしていた従来の方向性の誤りに気づき、同時になぜ酸素気泡が必要となるかの考察を進める機会を得た。ローダミンの還元が起こる電解電位とすることが必要だが、得られる膜においてはローダミンはその酸化体として析出し、膜は赤く着色している。電解中のスペクトル変化その場観察などから得られた情報と総合すると、ローダミンは還元されると亜鉛イオンと錯体を形成する。そして、その錯体が酸素気泡と接触すると、酸化体に戻ると同時にZnOを生じる。すなわち、その触媒的ZnO生成のサイクルがローダミンの活性化因子としての役割であることが判明した。また、反応拡散モデルのシミュレーションと得られる膜構造との相関にも良い一致を見た。これまでの謎が解明され、一気にサークルが閉じたので、これら成果をハイインパクト誌に投稿する準備が完了した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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