研究課題/領域番号 |
24350105
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
佐野 庸治 広島大学, 工学研究院, 教授 (80251974)
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研究分担者 |
定金 正洋 広島大学, 工学研究院, 准教授 (10342792)
井出 裕介 広島大学, 工学研究院, 助教 (40449327)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ゼオライト / 水熱合成 / 構造規定剤 / ナノパーツ |
研究概要 |
本年度はまず有機構造規定剤の種類や合成温度、アルカリ濃度等を変えてゼオライト転換を行い、その転換過程を詳細に解析し、出発ゼオライトの分解挙動と生成するナノパーツの構造の関係を検討した。合成時間(水熱処理時間)を様々に変化させて得られた生成物(固体部分)中に存在するアルミノシリケート種の化学構造を様々な測定法を用いてキャラクタリゼーションすることにより、出発ゼオライトの分解挙動とともにゼオライト転換過程を明らかにした。具体的には、ゼオライト転換過程の結晶構造の変化をXRD測定により、構成元素であるSiやA1原子の配位状態を固体NMR測定により、siやAl原子の結合状態の変化をFT-IRを用いて調べた。 また、ゼオライトの転換過程においては、原料であるゼオライトはまずアルカリ源でもある有機構造規定剤によって分解され、その一部は液相に溶解する。その後目的のゼオライトへ結晶化する。そのため、水熱処理後の溶液中には比較的質量の小さなナノパーツが存在すると考えられる。そこでゼオライト転換過程において、目的のゼオライトが生成する前の段階(アモルファス状態)で水熱処理を終え、遠心分離によって液相と固相とに分離し、溶液中のナノパーツの構造解析を本年度設置したエレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI-MS)で行った。遠心分離処理において、毎分数千回転(約5000rpm)の回転では生成物中の微粒子が完全に分離されず、さらに、回転により発生する熱で生成物中の組成が変化し、測定に一部支障をきたした。そのため、遠心分離処理は毎分数万回転(約20000rpm)の冷却機能のある超遠心分離機で行い、予備的な検討を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
出発ゼオライトの分解過程が、有機構造規定剤の種類や合成温度、アルカリ濃度等に大きく依存することを明らかにした。また、エレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI-MS)によるゼオライト転換過程での構造ユニット(ナノパーツ)の測定条件に関する知見が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
出発ゼオライトの分解によって生成した構造ユニット(ナノパーツ)の構造解析を行うとともに、それらナノパーツの自由な組み合わせによる機能性材料ゼオライトの自在設計・合成法(レゴ合成法)の確立を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
出発ゼオライトの転換過程を引き続き解析する。また、エレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI-によるナノパーツの解析を進める。
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