研究課題/領域番号 |
24350106
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
中山 雅晴 山口大学, 理工学研究科, 教授 (70274181)
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研究分担者 |
田中 俊彦 山口大学, 理工学研究科, 教授 (00179772)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | マンガン酸化物 / カーボンナノチューブ / キャパシタ / 光電変換 / 近赤外 / 電気化学析出 / ナノシート |
研究概要 |
バルクのマンガン酸化物はd-d遷移により可視光を吸収するが,励起電子は直ちに正孔と再結合する。しかし,Mn酸化物をナノ化すれば量子サイズ効果により,再結合を抑制し,励起電子を光電流として回路に取り出すことができる。一方,Mn酸化物は水溶液中での可逆な酸化還元により動作するレドックスキャパシタ材料である。本研究の目的は,Mn酸化物ナノシートを基板となる電極上に積層させ,可視領域光電変換による直接充電が可能なレドックスキャパシタ材料を開発することである。 平成24年度の実績を受けて,①カーボンナノチューブ(CNT)を足場としてMn酸化物ナノシート積層構造を電気化学的に作製し,光電変換効率の向上を目ざす,②光照射による充電と暗下での放電を可逆的に行う。 平成25年度の実績として,CNTとの複合化によって励起電子-正孔間の再結合を抑制し,光電変換効率の大幅な向上を達成した。さらにこの光電変換過程に近赤外成分が寄与していることを発見した。この現象はCNT無しの場合は見られなかったことから,CNTの近赤外吸収の関与が示唆された。一方,光照射時に蓄えた電荷を暗下で放出することを試みたが,支持電解質のみでは光充電電流のみであった。ところが,臭化カリウムを添加するとわずかではあるが放電電流が加算された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
光電変換に関しては400nmの単色光照射においてMn酸化物系では最大の効率を示した。また,CNTを足場に用いたことによる効果が認められた。光アシストキャパシタとしての可能性を示唆するデータが得られた。
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今後の研究の推進方策 |
Mn酸化物シェル/CNTコア構造に光を照射した際,700~1000nmの光が光電流の増加に大きく寄与していることを発見した。p-n接合の形成が関係していると思われるが詳細なメカニズムについては今後考察する。700~1000nmのみの光を与えることも考えている。光アシストキャパシタについては臭化カリウムの添加が必要であることが分かった。臭化物イオンの光酸化によるチャージされた電荷を放電過程でBr2が受容した結果と考えられる。しかしながら,可逆性があまりよくないため,臭化カリウムに代わる添加物質を探索する。さらに,より大きなキャパシタンスを与えるMn酸化物/ナノカーボンコンポジットの作製を続ける。
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次年度の研究費の使用計画 |
見積もり誤差 合算して使用する
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