研究課題/領域番号 |
24350107
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
中戸 晃之 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10237315)
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研究分担者 |
毛利 恵美子 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60380721)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 無機工業材料 / ナノ材料 / 層状・層間化合物 / ナノシート / 液晶 / コロイド / 光機能材料 |
研究概要 |
本研究の目的は、層状の結晶構造をもつワイドギャップ半導体を剥離させて得られるナノシート液晶を高次組織化し、新規な光機能性ナノシートアレイを構築することである。昨年度、ニオブ酸ナノシート液晶へ外場を印加してナノシートに一定の配向を誘起することで、新規なアレイ構造を構築し、色素の光触媒分解に適用した。本年度は、これを受けて、以下の検討を行った。 (1) ニオブ酸ナノシート液晶のアレイ化機構の検討 ナノシート液晶に対して、まず静置して液晶ドメインを成長させ、次いで外場を重力と平行に印加するという2段階の処理を加えることで、網状のナノシートアレイが組織化される。ナノシートの濃度やドメイン成長の時間を変えて種々の網状アレイを作成したところ、第一段階で形成されるドメインのサイズと外場印加後のアレイの網目長さとがおおむね一致していることを確認した。これより、1次構造単位であるナノシートがドメインを形成し、これが2次構造単位となってアレイとなる機構を確立した。ただし、ドメインがその形態を維持したまま外場に応答して配向を変えることは考えにくいため、今後、外場下でのドメインの動きをより詳しく検討する。 (2) 外場の直交印加による構造の異なるアレイの作成 (1)の検討を通じて、ナノシート液晶のドメインは、ナノシートの濃度が高いほど、またドメイン成長時間が長いほど大きくなることがわかった。これらのパラメータを変えることで、アレイの網目径や網糸の太さを種々変化させることができた。網目径については、数十マイクロメートルからサブミリメートルの範囲で変化させることがきた。これらを通じて、ナノシートアレイの構造を多様化をある程度達成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度当初の予定をおおむね達成したため。
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今後の研究の推進方策 |
アレイ形成機構については、現時点では推測が多く含まれているので、高解像マイクロスコープによる形成過程の動画観察や小角散乱による構造評価などを通じて、制御因子、形成機構、最終構造の関連を明確化させる。また、これまで検討が不十分であった構造スイッチングや光機能性の検討を加速する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額が発生した主因は旅費と物品費が当初計画より少なかったためである。これは、東海村にある日本原子力研究機構の原子炉が再開しなかったことが大きい。このことにより旅費の未使用額が大きくなった。2013年度の途中で、原子炉の年度内不再開と2014年度再開の不確実性が予測できる状況となったため、支出計画を変更した。この計画変更により、物品費の支出を当初計画より削減し、2014年度に繰り越して使用することとした。 当初計画では、蛍光量子収率測定用の積分球装置を現有の蛍光分光光度計に付設する予定であったが、(1)現有機が製造後10年以上経過しており最新機種と比較して測定感度が低い、(2)試料の特質から微弱な蛍光を検知しなくてはならないことが予想される、の2点の理由により、測定感度の高い蛍光分光光度計を新規に購入する必要性が出てきた。これらより、昨年度の未使用額をこの目的に充当する。また、採択された他の科研費課題においても、高感度の蛍光分光光度計を用いることが望ましい状況となったため、本課題との共用設備として購入することとした。
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