研究課題/領域番号 |
24350111
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研究機関 | 公益財団法人高輝度光科学研究センター |
研究代表者 |
小原 真司 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門, 主幹研究員 (90360833)
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研究分担者 |
増野 敦信 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (00378879)
藤原 明比古 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門, 主席研究員 (70272458)
田原 周太 琉球大学, 理学部, 助教 (80468959)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 無機工業化学 / ガラス / 液体 / 構造解析 / 無容器浮遊法 |
研究概要 |
平成24年度は超高温の無容器融体を達成するために、SPring-8の高エネルギーX線回折ビームラインBL04B2に200W 炭酸ガスレーザーを導入し、これまで報告例のない高融点酸化物である二酸化ジルコニウム(融点:2715℃)融体のX線回折データを2600℃の過冷却状態から2800℃まで測定することに成功し、融体がこの温度範囲で安定に存在することを確認した。さらに、連携研究者であるフィンランドのタンペレ工科大学のAkolaのグループが行ったスーパーコンピューターを用いた大規模第一原理分子動力学計算により実験データを忠実に再現する構造モデルの導出に成功した。平成25年度はこれらの実験データ、計算データをさらに解析することにより、この液体の構造的特徴を原子・電子レベルで解明し、この液体がガラスにならない理由を明らかにすることができた。 成果は、英国科学誌Nature Communicationsに投稿中である。 無容器法から合成されたニオブ酸ランタンガラスが組成により二種類の構造があることを、SPring-8の高エネルギ-X線回折実験、英国ラザフォードアップルトン研究所におけるパルス中性子回折実験、さらには逆モンテカルロシミュレーションを援用することにより、原子レベルで明らかにすることができた。得られた結果は米国化学会が発行する化学誌Chemisty of Materialsに出版された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現段階において、米国科学総合誌Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of Americaをはじめインパクトファクターの高い雑誌に成果報告ができた。また、高融点材料であるZrO2の液体の回折実験に世界で初めて成功し、その構造を原子・電子レベルで明らかにすることができている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、新規ガラス合成の創製の観点から、より大きな直径3mm以上のガラス球の作製を試みる。さらに、Ta2O5系ガラスの合成を試み、これらのガラスの構造および電子状態の完全解明を放射光実験、大規模第一原理分子動力学シミュレーションを併用して行う必要がある。
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次年度の研究費の使用計画 |
購入物品の納期が今年末に間に合わなかったため。 高圧実験用チャンバーの作製あるいは、成果報告のための外国出張の予算として使用する。
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