研究課題
今年度は、ガス浮遊炉の高度化の一環として、揮発性の高い液体をガス圧により押させるための加圧型チャンバーの開発に着手した。時間的にも予算的にもまだ未完成であるが、引き続き、加圧型チャンバーの開発を行う。耐火材料として知られている高融点酸化物である二酸化ジルコニウムはガラスにならないことで知られているが、その液体の無容器X線回折実験に成功した。さらに宇宙研究開発機構の石川らが行った密度測定のデータ、研究協力者のフィンランドのAkolaのグループと共同で行った大規模分子動力学シミュレーションを行うことで、ガラスにならない液体の原子・電子構造を明らかにすることに成功した。得られた結果は、英国科学誌Nature Communicationsに受理され、Nature Asiaの注目の論文に選出された。平成26年度までにノズル形状の改良、浮遊ガス流量の増大、組成の拡張によって、これまでまれにしか合成に成功しなかった直径3.5~4.3mmのTiO2系、Nb2O5系、La2O3系超高屈折率ガラス球を、失敗無く作製できる技術の開発に成功した。屈折率評価法として、これまでのエリプソメータを用いていたが、アッベ数30を超える低分散ガラスの場合、各屈折率の測定精度に問題があった。そのため今年度は、新たに精密屈折計を用いることで、小数点以下5桁という精密な屈折率を測定することができた。これは、得られるガラス球の直径が3.5mmを超えたために可能となった手法である。組成開発の点では,La2O3-Ta2O5-Al2O3や、La2O3-Ta2O5-B2O3などの新しい無色透明な高屈折率三元系ガラスの開発に成功した。また、密度やラマン散乱スペクトルなどを調べた結果,本研究期間内に新たに合成したガラスは、いずれも従来のネットワーク形成型酸化物ガラスとは異なることが明らかとなった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 1件) 備考 (2件)
Physical Chemistry Chemical Physics
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http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/press_release/2014/141218/
http://www.natureasia.com/ja-jp/ncomms/abstracts/60406