研究課題/領域番号 |
24350114
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
杉本 昌隆 山形大学, 理工学研究科, 准教授 (10361271)
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研究分担者 |
村島 隆浩 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (50565520)
小山 清人 山形大学, 理工学研究科, 教授 (60007218)
SUKUMARAN S.K. 山形大学, 理工学研究科, 准教授 (70598177)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 可視化ダイ設計 / ガラス設計 / 応力分布解析 / 流速分布解析 |
研究概要 |
高機能多層フィルム成形過程で形成される液‐液界面のスリップや不安定流動現象を次世代型デジタル光弾性法の適応によって可視化し、層界面における界面荒れ現象の発生場所と発生機構を実験的、理論的に明らかにする。これによって、高機能フィルム、シート用ポリマー材料あるいは成形品に関する研究開発を行なう際、材料設計や加工条件、口金(ダイ)形状の最適化を省エネルギー、少量サンプルで迅速に行なうことができる。 平成25年度の研究実施計画は多層流体のIn-situ観察及び解析を行った。平成24年度において作成した可視化ダイにおいて共晶点レーザー顕微鏡を用いたIn-situ観察を行い、多層押出流動中の流速分布を測定した。その結果、異種材料の多層押出流動においては層界面において流速分布が不連続に変化し、層界面において液-液界面でスリップが発生することを実際の押出機中で確認することができた。また平成24年度に用いたレオロジー的手法からも同様にスリップの発生が分かり、このレオロジー的手法から液-液界面スリップ速度を求めた。これより液-液界面スリップ速度の液-液界面のせん断応力依存性はべき乗則に従うことが分かった。 次に押出機ではなく細管型レオメーターにおいての押出実験を行った。ここでも同様にべき乗則が成り立つことが分かった。そのため、層界面でのスリップ挙動がダイ形状や層構成や流動挙動に関係なく界面でのせん断応力によって関係づけられることが示唆される。次に細管型レオメーターから二層試料を用いて実験を行い、液-液界面スリップと押出物の界面荒れの関係を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度に作成した可視化ダイにおいて共焦点レーザー顕微鏡とトレーサー粒子を用いた流速分布測定により、積層押出流動中の層界面の観察を行った。その結果、異種材料系の多層流動においては層界面で流速分布が不連続に変化し、層界面でのスリップが発生することが分かった。押出機を用いた可視化による結果とレオロジー的方法によるスリップの解析結果が一致するため、細管型レオメーターによる押出実験を行い液-液界面スリップと界面荒れの関係を明らかにした。 したがって、平成25年度研究実施計画において設定した研究目標はおおむね達成した。
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今後の研究の推進方策 |
多層流体の光弾性法によるIn-situ観察および解析を行なう。 平成24年度に作製した可視化ダイと光学系装置を組み合わせることによって多層流の流動解析ができるIn-situ可視化システムを構築する。 光弾性法により流路内(合流部や縮小部)の主応力方向と主応力差を求め、界面での応力分布あるいはその連続性から不安定流動を解析する。 上記の実験結果を基に、液-液界面スリップを考慮した多層押出流動の構成方程式を提案し、様々な条件下で同種・異種材料系の多層押出流動挙動を予測する。この計算結果と可視化実験結果を比較する事で各多層押出流動挙動シミュレーションの妥当性を確認する。
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次年度の研究費の使用計画 |
多層流体のIn-situ観察及び解析と多層流体挙動マルチスケールシミュレーションは平成25-26年度と2年間に亘って行う。 本年度中に行えなかった光弾性法による流動可視化とシミュレーションを来年度に繰り越して行うため次年度使用額が生じた。 平成26年度では可視化窓材として合成ガラス、サンプル、流速分布の解析に必要となる蛍光剤、窒素ガスなどを購入する予定である。
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