研究課題/領域番号 |
24350120
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
井上 正志 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80201937)
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研究分担者 |
浦川 理 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (70273539)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 粘弾性 / 応力光学則 / 無定形高分子 |
研究概要 |
平成25年度は,平成24年度に開発した装置を用いて,ガラス転移点近傍での無定形高分子について調べた.この系の物性は,一軸伸長特性等は比較的よく研究されている系である.本研究では,方法及び解析法の有用性を立証する目的で,ポリメタクリス酸メチル,ポリスチレン,ポリカーボネート等をモデルシステムとして,測定を行った.得られた二軸伸長下での,応力と屈折率テンソル測定データを,応力光学則を用いて,高分子セグメントの配向由来の成分とガラス成分に分離した.それぞれの成分に対して,弾性エネルギー解析を行い,配向由来のr成分に対しては,通常のゴムと同様の扱いが可能であった.一方,ガラス成分については,BKZ方程式等の解析を試みた.特に,一軸伸長実験では明らかにされていない,Finger項とCauchy項の寄与について明確にすることを目的としたが,ガラス成分ではCauchy項の寄与が大きいことが判明した. また,不均質系高分子を対象として研究を行った.前年度に開発した装置を用いて,医療用バルーンカテーテルに使用されているポリエステル等のエラストマーについて,その二軸伸長特性の精密解析を行った.バルーンカテーテルは,先端が風船状となっており,血管などの内部で膨らませることにより,治療や処置に用いられる.こうした用途では,高分子は数倍程度延伸され,また圧力を保持する必要があり,また圧力によるサイズの変化が小さい方が安定性がよく,良好な操作性につながる.こうした使用目的では,材料の二軸伸長特性が,製品の性能を支配する.二軸伸長特性を解析した結果,構造由来による塑性的な応答に対しても,形式的に弾性エネルギーが散逸すると考えることで,解析が可能であることわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
二軸伸長実験では,大面積の試料の作成が必要であり,均質な試料の作成に少し手間どった.また,均質へ変形させるためにも経験を要したが,解決した.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,当初の計画にしたがって,研究を遂行する.二軸伸長変形は,企業においてフィルム延伸等で重要であり,企業研究者との連携も視野に入れて進めたい.
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