研究実績の概要 |
相変化メモリPRAMは2009年9月より外国企業が携帯電話のメモリとして量産化を始め、デバイスへの本格的応用が始まった。また、ヨーロッパ企業も4GbPRAMの素子試作結果を2010年の春、学会発表した。一方、国内においても、新しい動き,産学連携プロジェクトが発足した。 このような中、PRAMの高速化の可能性は非常に重要な課題であり、特に結晶化プロセスをナノ秒領域で解析することが難しい。本研究の目的は、相変化メモリ(PRAM)の基本特性である高速相変化(結晶化)メカニズムの解明を目指し、ナノ秒領域の相変化、即ち、高速結晶化過程の解明を行う。 本研究では、1.階段パルスを用いた実験による抵抗変化の測定とシミュレーションによるナノ秒領域およびナノメータ領域の結晶化過程の解明、2.各種カルコゲナイド材料の結晶化過程におけるナノ秒領域における時間温度過渡特性の予測、3.上記の研究においてナノ秒階段パルスを用いた相変化抵抗過渡特性計測法の確立、4.加熱時の相変化材料物性計測、5.ナノ秒階段パルスを用いた加熱シミュレーション基本技術の確立、6.ナノメートル相変化領域制御可能な素子構造、加熱構造と多値記録の提案である。 本研究においては、カルコゲナイト材料としてGe2Sb2Te5とGeTeを用いて、結晶化実験とシミュレーションを行い、温度に対する結晶化特性を得た。その結果、GeTeは高速化に適した材料であることが分かった。得られた特性から結晶化の活性化エネルギを予測すると、GeTeの方がGe2Sb2Te5より約0.5eV、低いことが分かり、実用的に約30ns以下で完全に近い状態に相変化することが分かった。一方、Ge2Sb2Te5では、約200nsのパルス印加でなけれ完全に近い結晶化が起きなく、材料の選択、即ち、低結晶化エネルギを持つ材料の選択が必要なことが分かった。
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