研究課題/領域番号 |
24360007
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
佐々木 聡 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授 (10162364)
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研究分担者 |
奥部 真樹 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教 (10397060)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | X線共鳴磁気散乱 / X線ミラー / 放物面多層膜ミラー / 移相子 / 円偏光X線 / 4軸回折計 / 不対電子密度 / 放射光X線 |
研究概要 |
放射光X線回折実験ステーションにおいて、移相子を通過した後のX線を集光することを目的として、放物面多層膜ミラーを設計し、そのミラーを用いた放射光集光システムを構築した。X線ミラーは、高エネ研Photon FactoryのビームラインBL-6Cにおいて、移相子と回折計の間に設置することが可能なように設計された。そして、移相子通過後のX線を放物面多層膜ミラーで集光することに成功した。X線共鳴磁気散乱強度は微弱であり、試料結晶のサイズが直径0.1mm程度と小さいため、X線強度を集光して試料に照射することは、S/N比を向上させる上で重要である。ダイヤモンド完全結晶移相子を利用する本研究では、ビームライン設置X線ミラーの利用はX線強度が弱くなり現実的ではない。それとは独立の集光システムが完成し、その集光システムによる円偏光反転が可能になったことの意義は非常に大きい。 集光システムの導入と合わせ、4軸回折計を整備した。そのうえで、FeK吸収端での放射光を用いたX線回折技術と計測技術の確立に努めた。放射光の直線偏光をX線移相子で円偏光X線に変換し、単結晶用AFC-5小型4軸回折計に入射することで、多数のブラッグ反射に対し共鳴磁気散乱強度の測定を実施している。共鳴磁気情報を軌道電子の遷移に帰属させ測定波長を決めるため、最初にX線磁気円二色性(XMCD)を測定している。X線回折が電子雲の観察を得意とすることから、今後、Fe 3dや4p電子に係わる酸素電子の寄与も考慮した混成軌道に対し、吸収端での電子遷移メカニズムの解明や不対電子密度の解析が進むものと期待する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
放物面多層膜ミラーの導入。4軸回折計および計測に関する技術的確立。
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今後の研究の推進方策 |
今後は4軸回折計を用いた計測技術の向上を目指しながら、X線共鳴磁気散乱の強度測定に集中する。特に、電子軌道の磁気情報に着目した完全構造解析を目指す。研究計画には特に変更はない。
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次年度の研究費の使用計画 |
共鳴磁気散乱の強度測定を本格化させる。経費の大半は、X線散乱実験のための実験材料や実験小物類などの消耗品と旅費にあてる。直接経費次年度使用額が生じた理由は、X線ミラーシステムの導入に集中したためであり、翌年度の研究費と合わせて共鳴磁気散乱強度測定に使用する計画である。"
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