研究課題/領域番号 |
24360009
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
須田 淳 京都大学, 工学研究科, 准教授 (00293887)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | III族窒化物 / 炭化硅素 / 結晶成長 / コヒーレント / デバイス / 格子欠陥 / 分子線エピタキシー / ヘテロ構造 |
研究概要 |
本研究では申請者独自の技術であるSiC基板上への高品質・コヒーレント成長AINを下地層として、高品質・コヒーレント成長AlN/GaN短周期超格子(Short-period superlattice, SPSL)の成長に取り組む。成長条件とAIN/GaNSPSLのコヒーレント成長の限界組成、膜厚を明らかにすると同時に、緩和が起こる試料については緩和メカニズムの解明を進める。さらに、本研究で得られた高品質・コヒーレント成長AIN/GaNSPSLのデバイス応用として、AIN/GaNSPSLを疑似AlGaN混晶と見立てて、AIN/疑似AlGaN混晶によるヘテロ構造における二次元電子ガスの特性について系統的に調べ、高温動作高電子移動度トランジスタへの応用可能性などを検討する。当該年度前半は、SiC基板上のAINの臨界膜厚の上限を探るべく、さまざまな厚みのAINを成長し、x線回折、ラマン分光、カソードルミネッセンス、透過電子顕微鏡で評価を行い、全ての評価が臨界膜厚が700nmを超えるという結果を示し、Sic基板上のAIN系薄膜のコヒーレント成長の範囲が、予想されていたより遙かに大きいことを実証した。当該年度後半は、SiC基板上極薄AINをテンプレートとして、AIN/GaNSPSLの成長を行い、SPSLについてもコヒーレント成長の可能性について検討した。GaN層の膜厚を2MLとすることで、平均GaNモル分率20%でのコヒーレント成長が可能であることを実証した。詳細な構造評価を行い、高い結晶性を有していることも確認した。緩和メカニズムについては、SiC上AINの緩和とは異なり、徐々に緩和する可能性が示され、緩和を制御して行う事で、InGaAs系で行われているようなメタモルフィック成長を実現できる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
AIN/GaN SPSLのコヒーレント成長に関して平均GaNモル分率20%という、デバイス試作に利用可能な組成のSPSLでコヒーレント成長を達成することができ、今後、これを基本として予定通り研究展開可能と考えられるため。
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今後の研究の推進方策 |
分子線エピタキシー装置の故障が生じたため、新年度早々に修理を行い、結晶成長の実験は5月中に再開する。 その間は、詳細な評価分析に集中して研究を進める。研究の全体の進行としてはほぼ計画通りである。
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次年度の研究費の使用計画 |
一部の分析およびウエハーなど消耗品購入がずれ込んだため、約36万円を繰り越しているが、新年度早々に執行予定である。
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