研究課題/領域番号 |
24360015
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
近藤 博基 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50345930)
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研究分担者 |
竹田 圭吾 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00377863)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | プラズマ / 透過電子顕微鏡 / in-situ観察 / エッチング |
研究概要 |
計画初年度に新規設計・作製した活性種制御カテーテル型プラズマ源について、名古屋大学・反応科学超高圧走査透過電子顕微鏡(JEM-1000K RS)への設置準備ならびに軽量化構造の検討・回収を進めた。同プラズマ源は、反応科学超高圧走査透過電子顕微鏡の試料棒内に設置可能な、外形2mmのカテーテル型・特殊プラズマ源である。周波数2.45GHzのマイクロ波を用いており、大気圧を含む高圧条件下で、安定的に高密度なArおよびH2ガスプラズマを生成可能な事を、初年度までに確認している。また、マイクロ波電源ならびに生成したプラズマからの電磁波ノイズが反応科学透過電子顕微鏡の動作には影響しないことも確認されていた。しかしプラズマ源としての安定性能は確認されていた一方で、反応科学超高圧走査透過電子顕微鏡に接続し、電子顕微鏡観察を実施するにあたって、問題があることが判明した。具体的には、試料棒全体の重量が大き過ぎることと、高周波電力供給用ケーブルの剛性によって、試料棒先端部の微小動作が困難となることがわかった。そこで、試料棒全体の軽量化と、より剛性の低い電源ケーブルへの変更など、改良を施した。 一方、初期成長および成長後のラジカル処理が、CNW表面の組成分析・化学結合状態、結晶構造に及ぼす効果についても、走査電子顕微鏡観察(SEM)、角度分解光電子分光法(AR-PES)によって明らかにした。特にOHラジカルがCNW側壁で選択的反応し、顕著な表面化学組成、形態変化を起こすことが明らかとなった。次年度は、これらの結果もフィードバックして、素過程の解明に繋げていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度に新規設計・作製し、安定動作まで確認されていた活性種制御カテーテル型プラズマ源について、透過型電子顕微鏡に設置した際の微小動作に関する問題を見出し、試料棒およびプラズマ源全体の構造を見直して、全体的な軽量化と駆動を妨げない構造を実現した。これらにより、ラジカル照射下での透過型電子顕微鏡観察の準備が完全に整ったと言える。一方で、試料棒全体の構造を見直しと改修作業が必要であったために、当初に予定していた、ラジカル照射下での透過型電子顕微鏡観察像の取得には至っておらず、残念ながら“やや遅れている”と判断せざるをえない。上記の通り、同試料棒およびプラズマ源の準備は完了しており、名古屋大学・超高圧電子顕微鏡施設との密接な連携によって、同研究の実施を加速するものである。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までに準備が完了したカテーテル型マイクロ波プラズマ源を用い、ラジカル照射下での透過電子顕微鏡観察を実施する。第一段階の実験としては、Ar/H2プラズマを用い、白金(Pt)薄膜表面の形態変化を観察する。第二段階以降では、シリコンフィンチャネル側壁や、低誘電率有機薄膜やフォトレジストの側壁の変化の検証に展開する。
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次年度の研究費の使用計画 |
試料棒およびプラズマ源の更なる構造最適化の必要が生じたため、実際の観察試料の作製およびラジカル照射下での電子顕微鏡観察を実施する回数が少なくなった。そのために、年度内に使用する消耗品などが減少したため、次年度での執行分として繰り越した。 前年度に使用予定であった消耗品を、今年度分と共に購入し、併せて、全体計画に則った実験の推進と目標達成に努める。
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