研究課題/領域番号 |
24360018
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
武田 さくら 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教 (30314537)
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研究分担者 |
高橋 敏男 東京大学, 物性研究所, 教授 (20107395)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 二軸引っ張り歪みシリコン / 一軸引っ張り歪みシリコン / X線回折法 / 角度分解光電子分光法 / ラマン分光 |
研究概要 |
1.一軸引っ張り歪みシリコンの表面近傍での電子状態と歪み量の測定のための「その場ラマン分光装置」 の開発を行った。電子状態を測定する超高真空(UHV)角度分解光電子分光装置に隣接して除震台と分光器からなる「その場ラマン分光装置」を設置した。532nm、100mWの半導体レーザー光をビューポート越しにUHV中の試料に照射する。ラマン散乱光をUHV内で集光し平行光にする可動式集光レンズについては回転導入器とウォームギアを用いて光路を遮ることなくレンズを前後に200mm動かすことが可能な駆動機構を立ち上げた。平行光は光ファイバーを用いて分光器へ導入した。実際に立ち上げた装置で二軸引っ張り歪みシリコン及び無歪みシリコンのラマン線を測定した結果、CCD受光素子1素子当たり上0.18cm^<-1>以下、つまりシリコンの歪み量にしておよそ0.03%の測定が可能であることがわかった。当初の目標はシリコンの0.05%の歪みの測定が可能となることであったため、エネルギー分解能の目標を達成したといえる。 2.角度分解光電子分光法で価電子分散構造を測定した二軸引っ張り歪みシリコンについて、X線回折実験を行った。組成比xの異なる2種類のSi(1-x)Ge(x)/Si(001)上に成長した歪みシリコンについて、鏡面反射のロッドスキャン測定を行い、Si基板、xの値を連続的に増加させたSiGe遷移層、xが一定のSiGe層、および歪みシリコン層からの反射を分離できることが分かった。反射ピークの出現角度から評価した歪みシリコン層の平均面間隔は、組成比xの値と矛盾無く説明できることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、超高真空高分解能ラマン分光装置を立ち上げることが出来た。また角度分解光電子分光法で価電子分散構造を測定した二軸引っ張り歪みシリコンについて、X線回折実験を行い、歪みシリコン層の歪み量を求めることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
立ち上げた「その場ラマン分光装置」と角度分解光電子分光装置を用いて、一軸引っ張り歪みシリコンの歪みと電子状態の関係を明らかにする。X線回折及び低速電子回折にて混晶上の2軸引っ張り歪みシリコン層の歪み量を明らかにする。X線回折により平均格子定数を精密に測定し、低速電子回折により表面付近の面間隔を求める。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度、本研究課題を遂行する中で、低速電子回折実験を平行して行うことが本課題目的達成に有用であることが判明した。未使用額が生じた要因は、この新規に浮上した実験計画に合わせ、予算執行計画を変更したことに伴うものである。次年度の使用計画では、未使用額は低速電子回折のための装置整備に使用する計画である。
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