光渦励起光パラメトリック発振器から発生するシグナル光とアイドラー光の差周波光発生を行うことで6-12um帯のトポロジカル光波を発生させた。さらにシグナル光・アイドラー光と差周波光のトポロジカルチャージの保存則を用いて差周波光の符号(すなわちカイラリティー)を反転できることを見出した。その結果、光学系を一切変更することなく、差周波光のカイラリティーが変調できた。この手法を光渦励起パラメトリックレーザーに適用することで、6-12umの領域で±1のトポロジカルチャージを有する光渦の発生に成功した。 さらに光渦励起パラメトリックレーザーの共振器を平行平面共振器に変更した時、励起光のトポロジカルチャージはシグナル光、アイドラー光に均等分割され、非整数のトポロジカルチャージを持つスプリットリングに近い開環状強度分布のシグナル光(非整数トポロジカル光波)が発振する。シグナル光とアイドラー光の波長を縮退点から離調していくにつれてシグナル光・アイドラー光のトポロジカルチャージの大きさが連続的に変化することを発見した。このような非整数トポロジカル光波はl=0,l=1のチャージを持つ光波のコヒーレントな重なり状態とみなすことができ、共振器が次数の異なる空間モードのコヒーレント結合器の役割を果たしていると考えられる。しかしながら、非整数トポロジカル光波のトポロジカルチャージがなぜ連続的に変化するのか、そのメカニズムは未だ完全には理解できていない。そこで、フーリエ干渉計測による電場再生に立脚した非整数トポロジカルチャージの計測法(電場再生軌道角運動量スペクトル測定法)を用いてメカニズム解明に向けた研究を進めている。
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