研究課題
基盤研究(B)
本研究の目的は、カメラの露光時間の長い極微弱光下において、10桁消光できる地球型系外惑星の直接観測装置を開発し、望遠鏡搭載の目処を得ることにある。望遠鏡全体で生じる変化の速い波面誤差を瞳面波面センサーで計測し、コロナグラフ(恒星光を消光して惑星光を検出する光学系)で生じる非常に変化の遅い波面誤差を焦点面カメラで計測し、それらを合わせて制御できる、高消光なダブル波面計測制御光学系を新たに開発する。本研究の開発実験光学系は、光源部、非対称ナル干渉計部(UNI)、補償光学部、コロナグラフ部(焦点面カメラを含む)、から成り立っている。光源部は、多色のレーザーを1本のシングルモードファイバーで引くことによって、振動や迷光が少なくかつ広帯域特性の実験が行えるように改良を進めた。UNI部は、4分割位相マスクコロナグラフの偏光子を少し回転させたものを採用することで、約λ/3000rmsと非常に高い安定性で非対称ナル干渉の状態が実現できることが分かり、次年度から本光路のUNI部に組み込む予定である。コロナグラフ中の波面誤差を補正するため、焦点面カメラを用いた波面センシングによる制御系を開発し、1回の制御によって焦点面の1点の消光比が1桁上がること確認した。さらに、制御回数を増やしながら広い領域の消光比を効率的に上げる方式の検討を行った。瞳面波面センサーは、倍密度のマイクロレンズアレイによって測定点を増やし、入射光計測が高精度化された。これらを用いて、焦点面と瞳面両方の波面センサーを用いるダブル波面計測制御系の開発を進めた。可変形鏡の表面形状を高精度化することは容易ではないことが分かり、プロセスの検討を継続することとした。波面精度および広帯域特性の優れた偏光素子の調査が進んだ。
3: やや遅れている
可変形鏡の表面形状を高精度化することは容易ではないことが分かり、その方向での努力は継続するとしつつ、制御によってそれを補う検討を開始したが、十分な解を得るには至っていない。
従来の計画通り、より高精度化された各部を統合して開発実験光学系全体およびダブル波面計測制御系を完成させ、より高い消光比を得るとともに2重の制御の有効性を示す。
可変形鏡の高精度化が容易でなく導入を延期したために次年度使用額が発生した。達成すべき高精度化のレベルを適切に再設定して導入を進める際に、翌年度の研究費の一部と合わせて使用し、計画を推進する予定である。
すべて 2013 2012
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