研究概要 |
1.荷重制御型平面曲げ式疲労試験機を試作して,予亀裂を付与した試験片を用いて荷重を制御して疲労試験を実施し,試作した試験機を用いることにより,パリス則が適用できる応力拡大係数と亀裂進展速度の関係を得ることができ,試作した試験機の妥当性を実証した。また同試験機を用いてキャビテーションピーニングにより亀裂進展速度を抑止できることを実証した。 2.試作した荷重制御型平面曲げ式疲労試験機を用いた応力漸減試験により,下限界応力拡大係数範囲を求めることに成功した。また,未処理のステンレス鋼SUS316Lの下限界応力拡大係数範囲が,キャビテーションピーニングにより約1.9倍に向上することを明らかにした。 3.水中キャビテーション噴流を用いたキャビテーションピーニングならびに気中キャビテーション噴流を用いたキャビテーションピーニングのいずれの場合でも下限界応力拡大係数範囲を向上でき,向上の程度がキャビテーションピーニングによる圧縮残留応力導入と相関があることを明らかにした。 4.キャビテーションピーニング,ショットピーニング,レーザピーニングを組み合わせたハイブリッドピーニングのピーニング効果向上の基礎として,個々のピーニングの強化を図った。キャビテーションピーニングでは,キャビテーション噴流用ノズルとして一般に市販されているノズルと,キャビテーション噴流用に研究してきたノズルを比較検討し,キャビテーション噴流に好適なノズルのほうが加工能力が6倍程度良好であることを明らかにした。 5.亀裂進展速度を評価してピーニングによる水素脆化抑止を実証した。また水素によるステンレス鋼の硬化現象を明らかにするとともに,インデンテーション試験を用いた逆問題解析を行い,硬化には降伏応力の向上が関わっていることを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
試作した荷重制御型平面曲げ式疲労試験機の完成度が高いため,キャビテーションピーニング,レーザピーニング,ショットピーニングとそれらを組み合わせたハイブリッドピーニングで処理した材料の評価を順調に行うことが可能なので,研究計画を変更することなく,計画通りに研究を推進する。
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