平成24~25年度に得た研究成果の妥当性をさらに検討するため,次の二種類のオープンポーラス構造体に関して研究を続けた. 1.内圧を受ける厚肉多孔板: 平成25年度に続いて,内圧を受ける厚肉多孔板の単位セルに周期境界条件を課して多軸負荷のもとでの有限要素解析を行った.平成26年度に行った多軸負荷解析は,平面ひずみ条件と平面応力条件のもとでの等二軸負荷解析である.ポア圧は,平成25年度と同じくp=0, p=20MPaとした.この結果,平成25年度に行った解析と同じく,巨視的異方性,巨視的体積圧縮性,ポア圧依存性が粘塑性領域においても顕著に生じることが明らかとなった.また,平成24年度に定式化した均質化非弾性構成式により有限要素解析の結果がかなりの精度で表され,その妥当性が確かめられた. 2.ポア圧差を有するプレートフィン構造体: 平成25年度にポア圧差を有するプレートフィン構造体の均質化解析を行ったが,簡単のため,母材のひずみ硬化を無視した.そこで平成26年度は,母材のひずみ硬化の影響を調べた.母材は316ステンレス鋼,温度は650℃とし,Ohno-Wangの非線形移動硬化モデルによりひずみ硬化を考慮した.ポア圧は,平成25年度と同じく,一次流路側7.5MPa,二次流路側2.5MPaとし,単位セルに積層方向の単軸繰返し負荷を与えた.この結果,マクロ応力とマクロひずみの関係は,ポア圧が平均値5.0MPaの場合の結果とほぼ同じとなったが,一次流路側と二次流路側でそれぞれ引張り,圧縮のマクロひずみが繰返し負荷とともに進展し,一次流路側と二次流路側で逆方向のラチェット変形が生じることが明らかとなった.
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