研究課題/領域番号 |
24360046
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
磯野 吉正 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20257819)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 実験ナノメカニクス / MEMS / ナノワイヤ / マルチフィジックス |
研究概要 |
当申請の研究目的は、MEMS技術とナノ単結晶成長法の一つであるVLS(Vapor-Liquid-Solid)法を融合して『モノシリック・ナノ材料評価デバイス』を開発し、一次元シリコン量子細線(Silicon Nanowire: SiNW)単体でのナノメカニクス特性および機械-電気連成特性(ピエゾ抵抗効果)を解明することである。第二年度における具体的な研究課題は、(1) VLS装置を用いた単結晶SiNWの結晶成長技術の確立、および(2)ナノ材料特性評価MEMSデバイスの開発と、同デバイスを用いたSiNWの力学特性、I-V特性評価である。 (1)昨年度に開発したVLS-CVD装置の立ち上げ実験、ならびにナノワイヤ成長条件の抽出を行った。成長実験では、単結晶シリコン(111)基板上に触媒粒子として直径15nmの金ナノ粒子を分散させた後、圧力、温度およびガス流量を調整しながら合理的な結晶成長プロセス条件を抽出した。この結果、温度450~500℃、ガス流量(SiH4)100sccm、時間120minにて直径約50nmのSiNWの結晶成長を確認することができた。 (2)MEMS設計・プロセス技術を用いて、微小アクチュエータおよび静電容量式変位センサを一つのチップ上に集積した、ナノ材料特性評価MEMSデバイスを開発した。先ず、当初の研究計画に従って、VLS法により同デバイス上にSiNWを架橋させることを試みた。ここでは、SiNWの結晶成長方向を考慮して、アクチュエータ駆動(負荷)方向に対して平行にSiNWを形成することに成功した。しかしながら、その成功確率は極めて低く、その後の材料特性評価を成功させるには、試料・デバイス数が不十分であった。今後は、当研究室に既存のSEM内ナノマニピュレーションシステムを用いて、SiNWのデバイスへの架橋を実施することとする。なお、SiNW架橋に成功したデバイスについて、力学特性評価、I-V特性評価を行ったが、SiNWに十分な歪みを与えることができなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ナノ材料特性評価MEMSデバイスとナノ細線との融合において、その成功確率が著しく低いためである。このため、特性評価の試行回数が少なく、高精度評価が実現できていない。また、MEMSデバイスを駆動させるために、アクチュエータおよびセンサ構造を自立させる必要があり、当初計画では蒸気フッ酸プロセスによる構造自立化を目指していた。しかしながら、蒸気フッ酸プロセスでは、ナノ細線に致命的なダメージを与えてしまい、評価実験に実施することが殆どできなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
VLS法によるMEMSデバイスとナノ細線との融合が困難であったため、SEM内ナノマニピュレーションシステムを用いた細線のデバイス上への固定化を図る。また、アクチュエータおよびセンサの自立化においては、MEMS構造、実験方法を見直し、ナノ細線の固定終了直後に、レーザー加工によって上記構造の自立化を図ることとする。これらの対策により、同MEMSデバイス上へのナノ材料の固定化、およびデバイス構造の自立化の成功確率を高め、最終的な評価実験の試行回数を増やす予定である。
|