研究課題
当申請の研究目的は、MEMS技術とナノ単結晶成長法の一つであるVLS(Vapor-Liquid-Solid)法を融合して『モノシリック・ナノ材料評価デバイス』を開発し、一次元シリコン量子細線(Silicon Nanowire: SiNW)単体でのナノメカニクス特性および機械-電気連成特性(ピエゾ抵抗効果)を解明することである。最終年度において具体的に推進した研究課題は、(1)ナノ細線集積モノシリック・ナノ材料特性評価デバイスの開発、(2)同デバイスを用いたSiNWの力学特性、I-V特性評価、ピエゾ抵抗効果の解明である。(1)一昨年度に開発したVLS-CVD装置に、変位センサと静電マイクロアクチュエータが集積されたナノ材料特性評価専用MEMSデバイスを挿入し、デバイス上の所望の位置に、単結晶SiNW単体を気相成長させることに成功した。また、デバイスの結晶方位を変化させることで、SiNW結晶方向を<111>および<112>に変化させることにも成功した。これにより、各種材料特性の結晶方位依存性を解明することができるようになった。(2)上記で作製に成功したモノシリック・ナノ材料特性評価デバイスを用いて、大気中にて力学特性評価およびI-V特性評価を実施した。<111>、<112>方向SiNWのヤング率は189GPaと170GPaをそれぞれ示し、バルクSiのそれらと同等の値を示した。一方、弾性歪み下でのI-V特性評価においては、歪み3%のもとで<111>方向SiNWの電気抵抗変化率が-80%となり、また、<112>方向SiNWのそれは-35%となった。このことは、歪み3%のもとで、<111>方向SiNWの電気伝導率が無歪み状態のそれの5倍に、また<112>方向SiNWの電気伝導率が無歪み状態のそれの1.53倍に増大することを意味している。さらに、ピエゾ抵抗効果を表すゲージ率を評価したとき、<111>方向SiNWは-170.7@0.2%、<112>方向SiNWは-128.9@0.1%を示し、ともにバルクのそれらに比べて巨大なゲージ率が発生することが解った。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
Nanotechnology, IOP Science
巻: 25 ページ: 1-6
10.1088/0957-4484/25/45/455705
Journal of Micro Electro Mechanical Systems, IEEE/ASME
巻: 23 ページ: 944-954
10.1109/JMEMS.2014.2301849