研究課題/領域番号 |
24360057
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
金井 理 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (90194878)
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研究分担者 |
伊達 宏昭 北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (20374605)
溝口 知広 日本大学, 工学部, 准教授 (30547831)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 形状モデリング / CAD/CAE / 安心・安全設計 / 建設マネジメント / 維持管理工学 |
研究概要 |
(1)大規模プラントレーザ計測点群から,配管系統上の点群のみを高速にクラスタ化し,さらに配管点群への円筒面フィッティング,軸点列最適推定補完を行うシステムを開発し,直進パイプ・ジャンクション・エルボの認識率86%,88%,71%を達成した.また約1億点の大規模化学プラントの計測点群から,9時間で配管系統を全自動認識可能なことを実証した.また物体の隠蔽による物体認識性能の低下を防止するため,配管系統認識に特化した隠蔽部を最小化する最適スキャナ配置を推定できるシステムを開発し,より少ないスキャンで配管系統の認識率を向上できることを示した. (2)BIMのISO標準であるIFC2x3形式のCADデータに対し,設備のas-built形状をレーザ計測した点群データを,特徴点間RANSACにより短時間で自動レジストレーションし,かつCADデータと点群間の差分形状を自動抽出できるシステムを開発した. (3)固定式レーザスキャナから得られる大規模環境の複数計測点群を,点群内の地面一致制約と点群投影画像を用いたマッチングにより,既存手法に比較し極めて高速にレジストレーションするシステムを開発した.また主成分分析に基づくレーザ計測点群の物体ごとへのセグメンテーション(点群分割)法と,各セグメント(分割した点群)の幾何特徴ならびにコンテクスト(物体間の相対位置)評価に基づく,レーザ計測点群内の柱状物体の認識分類システムを開発した. (4)ランダムサンプリング,ICPに基づく形状合同性評価,及び領域ペア同時拡大法を組み合わせた計測データからの対称性認識アルゴリズムを考案した.また小型オブジェクトのレーザ計測メッシュに対する実験より,計測ノイズに対して頑健に形状中に存在する対称性を網羅的に認識可能であることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果として,既存研究では達成されていなかった大規模プラント設備の約1億点の計測点群に対し,90%に近い物体クラス認識率で配管系統の主要構成物を完全自動認識することに成功した.またプラント設備向けの計測オクルージョン最小化と認識率向上を同時に達成できる最適スキャナ配置手法,点群補完のための対称性・規則性の発見手法,IFC標準に準拠したas-built設備モデル自動生成のためのレジストレーションと変化点検出手法,超短時間複数点群ラフレジストレーション手法,コンテクスト評価に基づく物体認識分類の精度向上など,年度当初の予定課題をほぼ達成し,一部を学術雑誌論文で成果発表できた.また本分野の技術展示会であるSPAR-Jでソフトウエアの展示説明を行い,空調設備施工メーカとの新たな共同研究も開始できた. ただし計画していた設備の全自動構築に必要な形状特徴と立体モデリング手順推定手法の開発は実施できなかったため,H26年度で実施予定である.
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今後の研究の推進方策 |
H26年度は最終年度のため,As-built設備の全自動構築に必要な形状特徴と立体モデリング手順推定手法の開発,計測点群―設備モデル間の差分抽出による継続的モデル更新システムの開発,さらにH24-25年度に開発した手法を統合し,As-built設備モデルの汎用的生成能力と生成モデルの品質,処理時間を評価する作業を,様々な設備のレーザスキャン点群を対象に取り組みたい. また昨年度と同様,これらの成果を広く社会や産業界へ還元するため,論文や学会での発表のみならず,技術展示会,基礎技術講習会などにも参加し成果発表を行う予定である.
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