研究実績の概要 |
昨年度、達成に至らなかったアビジン修飾したガラス流路の内壁に,ビオチンで表面修飾したマイクロバブルを吸着させることに成功した。実験では、斜めに傾けたシャーレに対して、ビオチン修飾したマイクロバブルを含む水溶液を流し、浮力の影響で上昇していく気泡をアビジン-ビオチンの結合による捕獲することを試みた。ガラスでできたシャーレの底面全面をBSAでコーティングし、そのうちの半面のみアビジンコーティングを行った。その結果、アビジンコーティングした面のみに、ビオチン修飾したマイクロバブルを選択的に接着させることに成功した。 昨年度との違いは、マイクロバブルを加えた水溶液の成分の影響を徹底的に検討した点にある。具体的には、マイクロバブル吸着に成功した溶液では、純水に体積比で10 % のグリセリンおよびプロピレングリコールを加えた混合水 (GPW),リン脂質である1,2-distearoyl-sn-glycero-3-phosphocholine (DSPC)に加えて,(a) 1,2-distearoyl-sn-glycero-3-phosphoethanolamine-N-[methoxy(polyethylene glycol)-2000] (DSPE-PEG2000),(b) DSPE-PEG2000・NaCl ,(c) DSPE-PEG2000-biotin・NaClを混合した脂質溶液を用いた.(a)-(c)いずれの脂質もDSPCとモル比で1:9となる様に調合している.NaClを加えた影響が大きく、これにより最終的には選択的吸着が可能となった。 マイクロバブルを制御する技術に関しては、昨年度に引き続き超音波音場による気泡制御技術の開発を進め、本年度は同軸で径の異なる二種類の超音波発生器を用いて、超音波焦点で超音波が打ち消し合う素子を用いて、気泡を制御する方法について検討した。
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