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2012 年度 実績報告書

乱流混合と雲マイクロ物理素過程の大規模並列数値計算による解明

研究課題

研究課題/領域番号 24360068
研究種目

基盤研究(B)

研究機関名古屋工業大学

研究代表者

後藤 俊幸  名古屋工業大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70162154)

研究分担者 渡邊 威  名古屋工業大学, 工学研究科, 准教授 (30345946)
三浦 英昭  核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (40280599)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード乱流 / スカラー輸送 / スペクトル / 雲マイクロ物理 / 大規模並列計算 / MPI / ハイブリッドコード / 雲粒子
研究概要

非圧縮流体部分に3次元FFTによるスペクトル法、スカラー輸送部分に結合コンパクト差分法を用いた乱流スカラー輸送ハイブリッドコード(MPIによる並列化のみ)を、MPIとOpenMPを併用したハイブリッド並列コードに変更し、名古屋大学のFujitsuFX1で約3倍以上の高速化を達成した。このコードを用いて、格子点数N=20483で高シュミット数(Sc=1000,Rλ=42,Peλ=1200)の場合について、巨視的渦回転時間で70以上というこれまで誰も行うことができなかった長時間積分を実行して高精度のスカラー揺らぎの分散スペクトルを得た。統計理論による漸近的スペクトル形k-lexp(-B(k/kB))を確認し、普遍定数であるバチェラー定数CB=5-7を求めた。Yeungらの計算値よりも約15%大きいことがわかった。また、遠散逸領域でのスペクトルの指数的減衰は速度場の間欠性、特にストレイン場の負の固有値の非正規分布性によることを明らかにした。
極めて多数の雲粒子を乱流中に分散させ、これらと乱流との相互作用を解析する2種類のコードを完成させた。1つは連続体部分をすべてスペクトル法で解くもの、今一つは連続体部分に乱流ハイブリッドコードを用いるものである。両者の結果は良く一致し、計算結果の信頼性を確認することができた。スペクトルコードを用いて約1m3内の雲粒子と乱流輸送現象を最大格子点数N=1024へRλ=252,雲粒子数約1億3千万個の巨大シミュレーションを行った。現在、データを解析中であるが、高波数側で乱流と雲粒子の相互作用が浮力を通じて始まり、それが時間とともに低波数側に広がっていくこと、これに付随して鉛直軸方向の非等方性(軸対称性)も次第に成長することを確認した。そのほか、平均雲粒子半径の増大、雲粒子半径分布の時間変化など興味のある物理量が多く計算された。また、雲粒子コードを応用して、乱流中の高分子の影響を解析することにも成功した。その結果、弾性乱流の遠散逸領域で乱流のエネルギースペクトルにべき法則が見出されることがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

乱流スカラー輸送ハイブリッドコードの高度並列化が達成できたこと、これにより高シュミット数でのスカラー分散ゆらぎのスペクトルを解析できたこと、スペクトルおよびハイブリッドコードによる雲マイクロ物理シミュレータを構成できたこと、そしてこれにより雲マイクロ物理過程の大規模シミュレーションが行えるようになったこと、さらには乱流と高分子との相互作用問題にも応用できるようになったことによる。

今後の研究の推進方策

雲マイクロ物理シミュレータのうち、雲粒子部分をMPI+OpenMPにより高速化すること、雲粒子衝突過程を導入すること、高解像度の乱流スカラー輸送を実行すること。

次年度の研究費の使用計画

直近のスーパーコンピュータTop500の動向を念頭に、高解像度シミュレーションの高速化実行へのGPGPU等アクセラレータの利用を検討する。このためにGPGPUカード、コンパイラー等を購入、テスト環境を整える。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (8件)

  • [雑誌論文] Hybrid Eulerian-Lagrangian simulations for polymer-turbulence interactions2013

    • 著者名/発表者名
      T. Watanabe and T. Got oh
    • 雑誌名

      J. Fluid Mech

      巻: 717 ページ: 535-575

    • DOI

      10.1017/jfm.2012.595

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 講座) MHDシミュレーションのコーディング技法2013

    • 著者名/発表者名
      三浦英昭, 藤堂泰, 後藤俊幸
    • 雑誌名

      プラズマ・核融合学会誌

      巻: 89 ページ: 119-127

    • DOI

      10.1017/jfm.2012.595

    • 査読あり
  • [学会発表] 希薄高分子溶液における低レイノルズ数乱流の性質2013

    • 著者名/発表者名
      渡邊威, 後藤俊幸
    • 学会等名
      日本物理学会第68回年次大会
    • 発表場所
      広島大学
    • 年月日
      2013-03-26
  • [学会発表] 乱流の減衰過程に及ぼす高分子の影響2013

    • 著者名/発表者名
      渡邊威, 後藤俊幸
    • 学会等名
      京都大学数理解析研究所研究集会「多重物理・多重スケール乱流現象の数理」
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      2013-01-13
  • [学会発表] Universality of spectrum of passive scalar variance at very high Schmidt number in isotropic steady turbulence2012

    • 著者名/発表者名
      T. Gotoh
    • 学会等名
      APS meeting
    • 発表場所
      San Diego
    • 年月日
      2012-11-20
  • [学会発表] 雲粒子と乱流による雲マイクロ物理過程のシミュレーション2012

    • 著者名/発表者名
      小崎友裕, 後藤俊幸, 渡邊威
    • 学会等名
      第10回日本流体力学会中部支部講演会
    • 発表場所
      千曲市
    • 年月日
      2012-11-10
  • [学会発表] 雲中の雲粒子集団の挙動と乱流2012

    • 著者名/発表者名
      是石拓哉, 後藤俊幸, 渡邊威, 三浦英昭
    • 学会等名
      第LO回日本流体力学会中部支部講演会
    • 発表場所
      千曲市
    • 年月日
      2012-11-09
  • [学会発表] Kinetic energy spectrum of the 10w Reynolds number turbulence with polymer additives2012

    • 著者名/発表者名
      T. Watanabe and T. Gotoh
    • 学会等名
      Conference on Computational Physics (CCP2012)
    • 発表場所
      Kobe
    • 年月日
      2012-10-15
  • [学会発表] 雲中の水滴と乱流の相互作用2012

    • 著者名/発表者名
      是石拓哉, 後藤俊幸, 三浦英昭
    • 学会等名
      日本機械学会第25回計算力学講演会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2012-10-06
  • [学会発表] 雲マイクロ物理過程と乱流との相互作用2012

    • 著者名/発表者名
      小崎友裕, 後藤俊幸, 渡邊威
    • 学会等名
      日本物理学会秋季大会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2012-09-19

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公開日: 2014-07-16  

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