研究課題/領域番号 |
24360070
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
冨山 明男 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30211402)
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研究分担者 |
細川 茂雄 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10252793)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 混相流 / スラリー |
研究概要 |
親水性微細粒子の粒子径の減少とともに気泡の合体が促進され,その結果,気泡塔内ボイド率が減少することを平成24年度に見いだした.本年度は,これをモデル化するため,小規模狭平行平板間気泡流動観察装置を用いて種々の粒子径及び粒子体積濃度における疑似二次元気泡の合体過程を観察し,気泡が接触後に合体するまでに要する時間の実験データベースを構築した.また,実体顕微鏡と高速度カメラを用いた高時間・空間分解能の気泡合体過程観察を行い.粒子濃度増加及び粒子径の低下にともない,気泡間液膜の最終厚さが見かけ上増加する(合体が促進される)ことを示唆する画像を取得した.これらの実験データに基づいて,既開発の親水性粒子濃度の影響を考慮した気泡合体モデルを種々の粒子径に適用できるように拡張した. 汚染系気泡塔実験を実施した.界面活性剤の効果で低気相体積流束では自由液面にフォーム層が形成され,これにより見かけ上全気相体積割合が高くなる事を確認した.気相体積流束が増加するとフォーム層が破壊されて全気相体積割合が低下するが,ある程度以上の気相体積流束では清浄系と同様に単調増加の傾向を示すことを明らかにした. 気泡塔内部の各種局所量,すなわち局所気相体積割合,液相速度及び液相変動速度を電極プローブ及び既開発の液浸型小型LDVプローブにより測定した.その結果,数cm/s程度のガス空塔速度の非均質気泡流の乱流運動量輸送には塔径スケールの大規模渦構造による速度変動が支配的であることを明らかにした. 粒子径の影響を考慮した上記合体モデルを既開発の三次元計算手法に組み込むことにより,粒子径の影響を良好に予測できることを確認した.また,大規模渦構造の液相速度変動への寄与が支配的な場合は乱流モデルを用いなくても良好な予測ができることを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の最終目的達成のために本年度実施すべき要素研究として,親水性微細粒子が気泡合体に及ぼす影響の実験的検討,そのモデル化と計算手法への組み込み,界面活性剤が高気相体積流束における気泡塔内流動に及ぼす影響の検討,及び気相体積割合及び液相速度などの気泡塔内局所量の計測と流動構造の把握を進めてきたが,上記の研究実績概要で述べたように,順調に課題を達成できている.これまでに得られた成果は国内外の主要な学術雑誌及び学術講演を通じて発表している.以上のことから,本研究は概ね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
前年度までの各要素研究の成果をまとめて全体を俯瞰し,本研究の目的,すなわち気泡の合体・分裂特性に及ぼす界面活性剤と微小粒子の複合効果を念頭に置いた基礎実験とモデル化,高気相体積率・高粒子濃度の汚染系気泡塔内流動特性の把握と実験データベースの構築,及び高気相体積率・高粒子濃度の汚染系固気液三相気泡流の計算手法の開発を達成するために必要な追加実験・追加計算及びモデルの修正を必要に応じて実施する.以上の開発作業を終えた後,計算手法最終検証用気泡塔実験を行い,計算手法の妥当性・有用性を最終確認する.また,これまでの成果を纏めて公表する.
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