研究概要 |
本研究では、その界面で熱・物質伝達や化学反応を飛躍的に向上させる高可能ヘテロ多孔層の開発に向けて乱流と多孔体界面構造の相関を解明する.具体的には,構造や透過率に方向性のあるヘテロ多孔体の界面層(多孔体の界面や内部を含む層)内における流動機構と多孔質構造との関係をPIV(粒子画像流速計)による詳細な流動計測実験と格子ポルツマン法(LBM)による直接数値計算を併用することで解明することを目指して研究を進めている.従来のバルク的議論では不可能な多孔体界面流動機構の詳細を明らかにし,流動制御へのヘテロ構造の効果について議論し,多孔層を設計する際のガイドラインの確立を目指した後,研究成果をエネルギーの貯蔵・変換装置に適用できる高機能界面を持つヘテロ多孔質体の設計とその流動制御法の構築というイノベーションに発展させる予定でいる.平成24年度の実績の概要は以下のとおりである.まず,ヘテロ多孔体(異方性多孔体)内部流動計測のためには,作動流体の水道水と屈折率のインデックスマッチングを行う必要があるため,FEP樹脂管から作成するメッシュ状構造の多層モデルを製作し,流れ場のPIV計測を行った.FEP樹脂は乳白色の半透明樹脂であるため,高出力レーザーを導入して用いている.その結果,多孔体の界面層内を含む流動の計測が十分可能であることが確認でき,多孔体内部の層流~乱流にわたる微細流動の計測を行った.次年度からの界面乱流特性の計測実験への準備が完了できた多考えている.また,ヘテロ多孔体界面流れのLBM解析では,非構造マルチブロック格子配列法をLBMコードに組み込むこと,相界面流動のためのアルゴリズムの開発などで進捗が得られており,順調に進捗している.さらに,ヘテロ多孔体界面流れのモデリングのために,レイノルズ応力方程式モデルを基にヘテロ多孔体乱流モデルの基礎を開発した.今後は,より汎用性を高めるべく熟成化を図る予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヘテロ多孔体内部流動の計測や,流動現象の精密なモデル化等予定通り進んでいる.LBMによるヘテロ多孔体流れの解析は大規模計算が必要であるため,GPGPUを用いることを前提としたプログラミングを年度途中から進めることにしたため,若干進捗が遅れたが,総じて研究はおおむね順調に進んでいると判断した.
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次年度の研究費の使用計画 |
ヘテロ多孔体流れ計測実験では,多孔体界面内部流れの構造と多孔体構造の相関を明らかにする実験を行う.また,LBM解析ではGPGPUクラスター機用にコードを開発して大規模化に対応し,詳細計算で実験的知見を補完することで数値モデルのためのデータを蓄積する予定である. なお、H24年度はレーザー購入時に計画時の見積りからディスカウントが(2,204円)あった。また、当初計画した積層〓生の多孔体を〓〓に外注して〓脂溶融製作することに関して、現状の製作技術では不純物の混入により新規購入の高出力レーザーでも目的とするデータの可視化修得が大変に困難であることが予備実験で判明した。そこで方針を変更し、外注製作は取りやめ、時間と手間はかかるが全て自〓で手作業にて製作できるような組立〓構成の〓〓モデル多孔体に実験対象を変更した。以上により主として物品費に残額が生じた。(総計1,800千円)H25年度は機器購入等物品費に4,826千円。学会参加が旅費に1,500千円。その他(学会参加登録、論文掲載費等)に500千円を予定している。
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