研究課題/領域番号 |
24360073
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
須賀 一彦 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60374089)
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研究分担者 |
金田 昌之 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50346855)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 多孔体 / 乱流計測 / 数値解析 / モデリング |
研究概要 |
本研究では,その界面で熱・物質伝達や化学反応を飛躍的に向上させる高機能ヘテロ多孔層の開発に向けて乱流と多孔体界面構造の相関を解明する.具体的には,構造や透過率に方向性のあるヘテロ多孔体の界面層(多孔体の界面や内部を含む層)内における流動機構と多孔質構造との関係をPIV(粒子画像流速計)による詳細な流動計測実験と格子ボルツマン法(LBM)による直接数値計算を併用することで解明することを目指して研究を進めている.従来のバルク的議論では不可能な多孔体界面流動機構の詳細を明らかにし,流動制御へのヘテロ構造の効果について議論し,多孔層を設計する際のガイドラインの確立を目指した後,研究成果をエネルギーの貯蔵・変換装置に適用できる高機能界面を持つヘテロ多孔質体の設計とその流動制御法の構築というイノベーションに発展させる予定でいる.平成25年度の実績の概要は以下のとおりである. H24年度に引き続き,ヘテロ多孔体(異方性多孔体)内部流動計測をFEP樹脂管から作成したメッシュ状構造の多層モデルを2体製作し,流れ場のPIV計測結果を比較して構造と乱流との相関を議論した.そこでは透過率の異方性や空孔形状の異方性が乱れの統計量に影響を与えることが判明した.次年度にさらにパラメータの影響が顕著に議論できるように新たな多孔体を成形して解析を進める予定である. ヘテロ多孔体界面流れのLBM解析では,マルチブロック格子配列法をLBMコードに組み込み,DNSや高解像度LESの試計算を行い,高精度な補間法の開発を進め,基礎的な検討は終了したので,次年度に大規模な多孔体界面乱流の解析を進める予定である. ヘテロ多孔体界面流れのモデリングは,レイノルズ応力方程式モデルを基にヘテロ多孔体乱流モデルの進化版を開発した.今後は,実験や上述の詳細解析の結果と比較することを進め完成形を提示する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヘテロ多孔体内部流動の計測や,流動現象の精密なモデル化等,当初の難所は全て乗り越え,予定通り進んでおり,今後も見通せるようになった.LBMによるヘテロ多孔体流れの解析は大規模計算を目標としたGPGPUを用いるプログラミングを完了し,次年度に学外大型機での大規模解析への準備が整っている.総じて研究はおおむね順調に進んでいると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
ヘテロ多孔体流れ計測実験とLBMによる詳細解析のデータを蓄積し,界面流動と多孔体構造の相関に関する知見を得て,現象の理解とその数学モデルに反映させる予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
モデル多孔質の実験装置製作が予想より時間がかかって多くのケースを作れなかったことと,外注の単価が高騰したため自作に切り替えた.そのため物品費が予定より消化できなかった.また,学外計算機を借りる予定が少し遅れているためその分の費用が繰り越されたため. 装置製作と学外計算機使用料に繰り越された分を当てて計画通りに研究を進める予定である.
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