研究課題/領域番号 |
24360075
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
築谷 朋典 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (00311449)
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研究分担者 |
堀口 祐憲 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 准教授 (60314837)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 流体機械 / 医療機器 / 人工心臓 / ポンプ / 両心補助 |
研究概要 |
補助人工心臓用の血液ポンプとして、小型連続流ポンプを応用した体内植込み型補助人工心臓が実用化され急速に普及している。これらの患者のほとんどは左心機能のみ補助すればよい左心補助人工心臓装着患者であるが、より重症で左心補助に加えて肺循環を担う右心の補助を必要とする両心不全患者も存在する。本研究は、右心補助人工心臓として最適化した体内植込み型血液ポンプの設計と試作機の開発を行い、両心補助循環を必要とする重症心不全患者の治療成績向上のために優れた耐久性を有する体内植込み型両心補助循環システム構築の基礎とすることを目的とする本年度は、右心補助人工心臓の平均的動作条件として、左心補助人工心臓と同じ流量(5.0L/min)で発生圧力が1/5の20mmHgを設定し、最終ポンプ形状が最大サイズ50mm以下となることを目標にポンプ設計理論に基づいて設計することを計画した。解剖学的適合性を考慮し、ポンプ外径が30mm以下となることを設計の拘束条件として、羽根車直径20mmの遠心型ポンプの設計を実施した。羽根車の軸受として動圧軸受を採用した。流路形状を決定するために,ポンプ全体の数値流体力学(CFD)による流れ解析を実施した.その結果,直径20mmの羽根形状を羽根枚数6枚,羽根高さ7mm,羽根出口角53°の二次元羽根インペラを円形ケーシングと組み合わせて使用することにより,目的の運転条件を達成しつつ血液の淀み領域が生じないことが示唆された.また,このときポンプ内部のせん断応力の履歴を積分することによりポンプ内部における血球破壊量に関して検討を行った結果,市販されている血液ポンプよりも血球破壊量が少なくなる可能性を示す結果を得た.これらの解析結果を踏まえ,年度後半より実機の製作に取りかかっており,平成25年度以降,ポンプの水力学的特性試験と血球破壊試験を実施する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
血液ポンプの解析について,これまでの経験を活かしてモデル化から計算の実施,さらには形状の検討を滞りなく行うことが出来ていると考える.
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今後の研究の推進方策 |
試作機が完成した後,ただちに目的通りの基本的性能が達成できているかどうかを実験的に検討する.また同時にシステムの解剖学的適合性の検討のため,右心ポンプ用の脱血管模型を製作し,同時に軟質素材の心臓模型と共に形状設計を完成させる.
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次年度の研究費の使用計画 |
ポンプ製作段階で寸法の検討に時間を要したため,脱血管の試作に伴う支出を次年度に繰り越すこととしたために直接経費の次年度使用額が発生した.軟質素材の心臓模型は,脱血管形状の検討について,本システムのユーザーとなる心臓血管外科の医師に臨床的見地からの意見を得るためには必須であると考え,そのための模型作成費を中心に使用する,また血液ポンプ製作については,現在全ての部品を購入して作成しているため引き続き部品購入,金属加工費用として使用する.
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