研究課題
基盤研究(B)
国際宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」における「大スケール表面張力流の対流不安定性に関する微小重力実験」を平成24年6月26日から平成25年2月22日の期間に実施し、大スケール液柱の表面張力流の不安定性、不安定性の液柱長さ依存性・体積比依存性・昇温速度依存性、動的粒子集積現象(PAS:Particle Accumulation Structure)、カオス流・乱流の発生に関する長時間微小重力データなどを蓄積した。微小重力実験の実施にあたり、特に温度差駆動の表面張力対流のカオス化過程に関する実験条件の策定および取得データ解析を行った。地上研究として、PASに関連した粒子挙動の3次元追跡ならびに数値計算によるPAS発生メカニズムの検証を行った。さらに、Hydrothermal Wave不安定性の生起および対流場の同定にあたり、液膜や液滴などの系において地上実験や数値計算を行った。対流不安定性の物理を把握するため、アスペクト比1の液柱についての線形並びに弱非線形安定性解析を、液柱端面で完全伝導条件、液柱表面では完全断熱条件の下、浮力の影響を無視して行い、従来の線形安定性解析結果の妥当性と、プラントル数の値による回転波と定在波の入れ替わりの存在を明らかにした。また、安定性解析では考慮に入れていない液柱端面温度の非一様性が予備実験によって観察された。平成25年度後半から実施予定の「動的界面変形が対流不安定性に与える影響に関する微小重力実験」に向けて、実験条件策定を進めるとともに、地上実験において「きぼう」のgジッタが測定に与える影響は低振動数gジッタ(概ね、10Hz以下)であれば無視できることを確認した。
2: おおむね順調に進展している
平成24年度交付申請書の研究実施計画として(1)~(9)の項目を掲げた。それらの全ての項目について概ね順調に進展していることから「(2)」と自己評価した。
平成25年度交付申請書に記載の通り進める。表面張力流の制御性に関する地上実験については、当該課題の専門家である工藤(東京都立産業技術高等専門学校・ものづくり工学科)を研究分担者に加えて、体制の更なる強化を図る。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (11件)
Journal of the Physical Society of Japan
巻: 82 ページ: 074401(1-14)
10.7566/JPSJ.82.074401
Micro gravity Sci. Technol
巻: 25 ページ: 43-58
DOI10.1007/sl2217-012-9332-7
Progress in Computational Fluid Dynamics
巻: 13 ページ: 133-144
Chaotic Modeling and Simulation
巻: 1 ページ: 19-30