研究概要 |
平成24年度は,蛇行流路内の粘弾性流体流れの伝熱特性と流動特性の解明を目的として,5mm四方の正方断面流路について,粘弾性流体であるポリアクリルアミドとスクロースの混合水溶液を用いて等温加熱条件下における平均熱伝達率と圧力損失の測定,および染料を用いた流れの可視化計測とPIV(Particle Image Velocimetry)計測による速度分布測定を行った.その結果,レイノルズ数が0(1)の領域においても非定常流れと縦渦状の二次流れが形成されることが確認できた.特に蛇行流路の湾曲間における変曲点やや下流において強い二次流れが存在することが分かった.これらの流れにより,平均熱伝達率はニュートン流体の場合と比較して3倍以上促進した.また直線流路を用いた測定を行い,同じレイノルズ数では蛇行流路と比較して伝熱促進効果が得られなかったことから,二次流れの形成は蛇行流路と粘弾性流体の組み合わせにより得られることを示した.圧力損失(ポンプ動力)を考慮した総合性能においても,ニュートン流体であるスクロース水溶液の場合と比較して高い性能を示した.ただし,水の場合と比較すると同等の性能であった. さらに,伝熱と圧力損失特性の整理方法と流体の物性及び種類による影響を検討するために,異なる複数のスクロース濃度の水溶液について実験を行った.その結果,レインルズ数では平均ヌッセルト数および管摩擦係数の増加位置や大きさを再現することができないことが分かった.一方,ワイゼンベルグ数を用いることで流れの非定常化と平均ヌッセルト数の値を整理できることを示した.これは二次流れの形成には主に法線応力差が影響すると考えられ,第一法線応力を測定し,その値を用いて伝熱特性を整理できることも示した.また,平成25年度に向けて3次元数値解析と高分子水溶液と異なる粘弾性流体として界面活性剤水溶液を用いた実験を開始した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画で示した伝熱測定,圧力損失測定,流れの可視化,PIV計測を行い,各実験について目標である結果を得ることができた.さらに,異なる物性を持つ粘弾性流体を用いた測定と数値解析による流動解析をそれぞれ前倒しして行う事が出来たため.
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