研究課題
凍結手術と凍結保存への適用を目指し、学術的にも興味深い神経突起を有する成熟神経細胞に対して、凍結・融解特性(凍結・融解過程のミクロ挙動、凍結・融解後の細胞の形態変化と生存性)を解明する。平成26年度には、ジメチルスルホキシド(DMSO)10v/v%を添加した生理食塩水中の基質に付着した分化型PC12細胞(ラット副腎髄質褐色細胞腫由来PC12細胞株)に対して、一様温度分布低温ステージを用いて,冷却速度0.1~74.3℃/minで,最低到達温度-80.0℃まで冷却し、そこで10分間滞在後、加温速度~30℃/minで加温する実験を行い、1)-5)の結果を得た。1) 凍結・融解後の神経細胞の形態変化に関して、DMSOの添加により、数珠状化や短小化を起こした神経突起の割合、および、その数珠状化の程度と短小化の程度が大幅に低減された。2) NaCl水溶液による浸透圧ストレス(等張→高張(1.0M)→等張)を課す場合、希釈過程で、凍結・融解の場合と同様の形態変化(神経突起の数珠状化、短小化)が形成され、その時系列変化が定量的に示された。3) NaCl水溶液中の凍結・融解過程・融解後に及ぶ一連の過程において、数珠状化と短小化の形態変化は、概して融解終了前後に(融解過程の終わりから融解後1-2分程度の間で)形成された。4) 培地中の凍結・融解後の形態変化は、培養温度(37℃)条件で、数珠状変形が消滅し形態が回復する神経突起、および、数珠状部間で崩壊・切断する神経突起があった。5) DMSO添加の場合、分化型付着細胞の生存率は、冷却速度に対して逆U字型の分布(約0.5~1.0℃/minで極大値50%程度)をとるのに対して、未分化細胞の生存率は、付着、懸濁を問わず、特に10.0℃/min以下の冷却速度の範囲で最大で約2倍程度大きい。従って、分化型細胞では、より高度な凍結保存技術が必要である。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Cryobiology
巻: Vol. 70, No. 2 ページ: 122-135
第52回日本伝熱シンポジウム講演論文集
巻: CD-ROM ページ: F111,P2
巻: CD-ROM ページ: F112,P2
低温生物工学会誌
巻: 60巻1号 ページ: 47-52
第51回日本伝熱シンポジウム講演論文集
巻: CD-ROM ページ: F132,P2
巻: CD-ROM ページ: F133,P2
巻: CD-ROM ページ: F134,P2