研究概要 |
本研究では,i.先行薄膜形成初期過程でのダイナミクス,ii.固液2相混合状態での先行薄膜形成メカニズムとマクロ的動的濡れ現象,iii.固体面上に固体粒子などの障害物が存在する系での先行薄膜形成メカニズム,iv.マイクロチャネルなどの狭小領域内での動的濡れ,V.先行薄膜領域能動的制御によるマクロ的三相界線近傍での熱物質輸送制御の確立を主要5テーマとして取り組んでいる. 今年度は,実験的アプローチにより固液気三相界線前方の先行薄膜領域検出系の時空間解像度高精度化などを,計算的アプローチにより固体粒子を考慮した固液二相流を対象とした数値解析コード開発などを行ってきた.以下,各課題において研究実施内容を紹介する. 課題i.先行薄膜(PF)形成初期過程では,固液気三相界線前方の先行薄膜領域検出系の時空間解像度高精度化や,Brewster角顕微鏡および共焦点レーザ変位計による先行薄膜存在領域および厚さ同時計測系の構築を実験により,また,分子動力学法による無極性分子の撥水や極薄基板上での液滴の濡れに関する数値解析コード開発・検証を行った.課題ii.固液混合状態に関しては,粒子を含有する液滴-固体基板での先行薄膜形成初期過程の実験による検出や,固体粒子を考慮した固液二相流を対象とした数値解析コード開発を行った.課題iii.PF一粒子相互作用では,先行薄膜領域と粒子の相互作用に関する高速度・高感度観察を行い,固液気3相境界線の爆発的な濡れの進展や固体粒子の動的挙動について明らかにした.課題iv.狭小領域に関しては,マイクロチャネルあるいはチューブ内での先行薄膜形成過程に関する基礎実験を行い,特に流路壁上に散布した固体粒子の挙動について明らかにした.課題v.能動的制御に関しては,光・熱エネルギー照射と先行薄膜形成過程の相互作用に関する基礎実験を実施した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
9.研究実績概要にて記述した通り,本研究では大きくわけて5つの課題に取り組んでいる.それぞれの課題について,研究代表者・分担者により定期的な議論を重ねながら研究を実施している.ただ,分担者(洪)の所属変更が年度半ばに発生した関係で,狭小領域に関する実験について若干停滞した時期があったが,現在は新規所属先での研究環境も整い,順調に再開している.
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今後の研究の推進方策 |
来年度についても,実験・計算の異なるアプローチからそれぞれの課題について取り組んでいく予定である.特に,固液2相混合状態の濡れや,固体粒子との相互作用を考慮した濡れの動力学について,今年度に大変有意義な結果を取得することが出来たので更なる展開が期待できる.
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