研究概要 |
音声や映像をインターネットを介して遠隔地間の多人数で共有し,遠隔会議やソーシャルゲームなどの社会活動を行うことは,近年日常的に行われている.それらの技術はこれまでのコミュニケーションのあり方を一変させたとも言って過言ではない.人間の五感の一つである触覚(力覚)を集団的に共有し,社会的な活動に反映させた事例はこれまで世界的に見られない.これは,インターネットで生じる時間遅延が力学的閉ループを不安定化させるため,適切な力覚制御が困難なためである.本研究ではこれらの問題を克服し,世界中で操作者間の力覚を共有させ,音声・映像に続く第3の感覚共有によるコミュニケーションを目指すものである. 研究は,力覚共有マウスの製作→力覚サーバの構築→遠隔地間力覚共有アプリケーションの開発→国内拠点間における公開実験と評価→国際間の実験→総括,と進めていく.このうち平成24年度は,力覚共有マウスの製作と力覚サーバの構築を行った.力覚マウスには二軸力覚センサが取り付けられており,プレイヤーのXY方向の二軸力情報が計測される.また,マウスはモータで位置決めされることによってプレイヤーに力覚を伝える.力覚サーバは操作者の力情報を集め,そこから動力学モデルに基づいてマウスの新たな位置を計算した後,その情報を各地の力覚共有マウスに発信するものである. 以上のハードウェアを平成24年度中に構築し終え,各共同研究者に配布した.これにより次年度からは,予定通りアプリケーションの開発に取り掛かる予定である.さらに最終年度では開発されたハード・アプリを用いて力覚共有実験に着手する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画で平成24年度の実施項目である,1力覚マウスの実現,2力覚サーバの構築,3マルチラテラル遠隔制御基礎理論の確立,の全てが計画通りに実施されたため.
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