研究概要 |
不整地移動ロボットに多自由度アームを搭載した不整地移動マニピュレータは,福島原発でのPackBotの活躍を見ても分かる通り,災害現場において非常に有用である.しかしながら,これを遠隔操作するためのオペレータの訓練には,多大な時間がかかる.その原因には,ロボットや環境の状態把握が困難,不整地上におけるロボットが不安定,操作すべき自由度が多すぎる,といったことが挙げられる.そこで,本研究では,不整地移動マニピュレータを容易に遠隔操作する手法の実現を研究目的に設定した.具体的には,オペレータに対する(1)三次元環境情報の提示,(2)力覚応答による接触予測の提示,(3)操作安定性情報の提示,の三つについて研究開発を行い,研究目的の実現を目指すこととした. 平成24年度には,三次元環境計測とオペレータへの提示,力覚応答による接触予測の提示ならびに,ロボットの安定性の把握の研究開発について,個別に並行して行った.その結果,三次元環境計測とオペレータへの提示については,三次元環境計測装置の搭載,接触予測機能の実装が進み,環境情報をオペレータに提示する枠組みがほぼ完成した.一方,力覚応答による接触予測の提示については,現状で,技術的な課題が解決されていない.そのため,平成25年度には,この点を重点的に進める必要がある.また,ロボットの安定性の把握については,平成24年度の研究により,基本部分の研究は完了しているが,ロボットへの実装が完了していない.この安定性の把握については,本システムにおける最優先課題ではないため,この課題については,平成26年度に進めることとする.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要にも記述した通り,三次元環境計測とオペレータへの提示については,三次元環境計測装置の搭載,接触予測機能の実装が完了した.一方,力覚応答による接触予測の提示については,現状で,技術的な課題が解決されていない.後者を平成25年度前半に解決し,システム統合を図ることで,平成25年度中に,オペレーション試験が実施可能である.以上より,本研究は,当初計画通り,順調に進展していると評価した.
|
今後の研究の推進方策 |
平成25年度中には,前半に,力覚応答による接触予測の提示を完了し,システムインテグレーションを図る.動作確認の後,複数人の被験者によるオペレーション試験を実施する.なお,この試験は,屋内試験だけでなく,フィールドにおいても実施するものとする.この試験結果を開発にフィードバックし,不整地移動マニピュレータを容易に遠隔操作する手法の改良を進める.
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度には,力覚応答による接触予測の提示に関し,技術的な問題のため,平成24年度に課題が完了せず,311,328円の次年度の研究費が生じた.そこで平成25年には,力覚応答による接触予測の提示に必要な経費,システムインテグレーションにかかる経費,オペレーション試験にかかる物品費について,平成25年請求額と合わせて使用する予定である.
|