研究課題/領域番号 |
24360094
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
青山 尚之 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (40159306)
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研究分担者 |
岩田 太 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (30262794)
平田 慎之介 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (80550970)
大田 明博 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 室長 (80356641)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | マイクロカプセル / リニアエンコーダ / 極細ガラスピペット / 圧電素子 / 平行板ばね / 機械共振 / 粘弾性変化 / エマルション |
研究概要 |
本研究では同軸の多層ガラスピペット内にさまざまな高粘度液体または微小固体を充填し、それらを極細ロッドで精密に押し出しながら、直径が100μm以下のマイクロカプセルを生成させる方法を提案し、その特性や性能および応用を実験的に検証することを目的としている。平成25年度に得られた成果は下記の通りである。 (1)この微細射出機構では極細ガラスピペットを高速精密に位置決めする直駆動機構とその内部を貫通する極細タングステンロッドの駆動機構で構成されており、それぞれが独立で高速位置決め制御される。それぞれの位置は同軸で取り付けられているリニアーエンコーダで計測され、位置と速度が精密に制御される。極細ガラスピペットに高粘度液体や固形物を充填し、タングステンロッドで精密に押し出すことで、溶媒中に微小液球やカプセルを生成することが確認された。 (2)振動共振信号処理を用いた極細タングステンロッドに付着した極微量液体質量の計測法開発:タングステンロッドに軸方向に微小な振動を与え、その振動を圧電センサーで計測し、入力信号と検出信号の位相差やその差分信号のうなり成分をDSP信号処理し、タングステンロッドに付着している液量や状態を実時間で観察することを検討した。この結果、微小振動の振幅や位相の変化から、先端近傍の間隙を精密に検出できることが確認された。 (3)極細タングステンロッドの精密先端加工方法とその形状計測評価:精密な回転と引き抜きが可能なシステムを設計試作し、極細タングステンロッドを実体顕微鏡で計測し、閉ループで回転速度、引き抜き速度および印加電流を実時間で制御し、精密な電解加工法を実現した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では従来の化学的な反応では組み合わせ生成が難しい直径が100μm以下のマイクロカプセルを機械的に生成することを目的とし、その機構の提案と試作および実験によりその性能の検証を行なった。 平成25年度にはほぼ計画通りに研究を実施し、マイクロピペットをパラレル式のワイヤー駆動機構で自在に空間位置決め制御する機構を試作し、それにより対象物に対して精密に位置と姿勢を与えることができた。また対象物のカプセルの表面の微細な動的な特性を啓作するために、マイクロ音叉を共振させ、これを僅かに接触させ、その時の振幅と位相の変化から、膜や内部の粘弾性を精密計測する計測方法を提案し、実験的に明らかにした。また細胞などのカプセル状の対象物を微細にハンドリング可能なハンドヘルド型の電磁気駆動アクチュエータを設計開発し、MPC制御方式で微細でかつ高速な応答性を実現することに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
検討すべき課題として、マイクロカプセルの寸法精度がまだ不十分であり、射出速度や極細ピペット径などとの関連を詳細に調べ、可能であれば、顕微画像処理システムを導入し、カプセル寸法を実時間で制御することを予定している。さらに複数のピペットを空間に自在に配置できるようにし、対象物に射出できるシステムを構築する。生体卵細胞などのカプセルを対象として、下記の課題を検討する。 (1)このような対象物を1個単位で選択把持することが難しいため、微小対抗流を用いた非接触保持方法を提案し、液中において薄膜カプセル状の対象物をハンドリングさせることを検討する。 (2)次にこれらの対象物を液中で保持し、また任意の姿勢に回転位置決めする機構を提案するとともに、設計試作してその性能を明らかにする。 (3) パラレル式のワイヤー駆動機構で自在にピペットを空間位置決めし、これらの作業の自動化を検討する。 (4)生成されたカプセルの粘動特性計測 形成されたカプセルの芯材料や殻材料の粘動特性計測をマイクロ音叉を用いた共振点変化と2台の光学顕微鏡で計測する。
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