研究課題/領域番号 |
24360096
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
平井 宏明 大阪大学, 基礎工学研究科, 講師 (60388147)
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研究分担者 |
宮崎 文夫 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (20133142)
植村 充典 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (00512443)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 運動制御 / 運動学習 / 人間機械システム / リハビリテーション / コーチング / ロボティクス |
研究実績の概要 |
本研究は、ヒト随意運動において中枢神経系が選択する運動解を身体協応(シナジー)の観点から解析することで、冗長筋骨格系におけるヒトの運動制御の解明を試みるものである。ここでは、シナジーの概念が持つ2つの機能(① パターン共有機能 [多数の構成要素を協調させてパターンを共有する機能]、② 誤差補償機能 [構成要素の相補的な補償効果により全体を安定化する機能])に着目し、個別にアプローチを行う。本年度は、特に、冗長解における選択の自由、「運動多様性」が洗練されるメカニズムの解明に向けて研究を行った。 1. 運動学習と運動多様性の関係 未習熟運動は練習を重ねることによってその技能を向上させることができる。ここでは、健常者の上肢運動を対象に、運動学習過程における筋シナジーの運動多様性を解析することで、その柔軟な適応能力を定量評価し、運動学習と運動多様性の関係を明らかにした。筋シナジー、手先平衡点軌道、手先剛性の3つの運動指標が互いに関係しながら、運動技能が熟達していくことの実験検証に成功している。 2. 運動再学習と運動多様性の関係 運動麻痺は訓練(リハビリテーション)を重ねることによって失われた機能を回復することができる。ここでは、麻痺者の上肢運動を対象に、運動の再学習過程における筋シナジーの運動多様性を解析することで、その柔軟な修復能力を定量評価し、運動再学習と運動多様性の関係を明らかにした。2.5ヶ月のリハビリテーションによって、筋シナジー及び手先剛性の2つの運動指標で回復が見られ、手先平衡点軌道においても完全ではないものの大幅な運動改善が認められた。 上記の結果は、シナジーの概念が運動の評価や診断、さらには運動の支援や訓練に有用であることを示している。これらの成果は、学術論文誌(3件)、学会発表(13件)及び特許出願(2件)としてまとめられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在のところ、研究を遂行する上で大きな問題を生じていないため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度までに得られた成果に基づき、来年度も計画どおり研究を進めていく予定である。 最終年度は、個別成果をまとめ、提案概念の体系化を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
運動制御/適応/学習の機序の解明に向けて研究を遂行するにあたり、計測システムの充実よりも、仮説を裏付けるエビデンスの獲得を優先すべきと判断したため。(小課題の順番の入れ替え)
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次年度使用額の使用計画 |
順番を入れ替えた課題を遂行するために、次年度に既存システムの拡張を図る。
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