研究課題/領域番号 |
24360100
|
研究機関 | 地方独立行政法人青森県産業技術センター |
研究代表者 |
工藤 謙一 地方独立行政法人青森県産業技術センター, 弘前地域研究所, 所長 (90250232)
|
研究分担者 |
高橋 進吾 地方独立行政法人青森県産業技術センター, 水産総合研究所, 研究管理員 (10561912)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | マイクロインジェクション / マイクロマニピュレータ / バイオメカトロニクス |
研究概要 |
本研究では,オペレータの技量に関係なく効率の良い作業が行える様に自動化した,稚魚への高精度なマイクロインジェクションシステムの開発を目指し,日本がこの分野で世界をリードできる水産国になることに寄与することを目的としている. 本年度は,確実にマイクロピペットを稚魚腹腔部へ挿入出来る装置開発を目指した. 確認実験として,圧電素子を利用した打撃力発生装置を組み込んだインジェクタと今回試作した空圧打撃型インジェクタを用いて,稚魚へのマイクロピペット穿刺を試みた.なお,実験には哺乳動物卵細胞操作用ピエゾマイクロマニピュレータも使用した.実験に使用した試料(稚魚)は,50日齢のマコガレイ(17mm×4mm)を用いた. 実験結果: ①.ピエゾマイクロマニピュレータは,哺乳動物卵細胞への穿刺実験では良好な結果を示したが,今回行った実験では,卵細胞に比べると外皮が非常に硬いのでマイクロピペットによる穿刺は不可能であった. ②.圧電素子を利用した打撃力発生装置を組み込んだインジェクタは,先行実験として行ったトラフグの稚魚(9日齢)では良好な結果を得ていたが,50日齢のマコガレイでは,外皮が硬いため,マイクロピペットを穿刺出来なかった. ③.今回試作した空圧打撃型インジェクタは,外皮の抵抗に打ち勝って,マイクロピペット先端を稚魚腹腔部へ確実に挿入することが出来た.ただし,今回試作した空圧打撃型インジェクタはストロークの微細なコントロールがインジェクタ本体では不可能であり,ストロークは粗動位置決めマニピュレータ側で行う必要があったので,使い勝手を考慮するとインジェクタ側でのストローク調整機構を設ける必要があることを確認した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度計画に記載した3種類の穿孔装置開発において,ピエゾマニピュレータと圧電素子を利用した打撃力発生装置を組み込んだ穿孔装置の改良がやや遅れており,良好な結果を得ていない.しかし,今回試作した空圧打撃型インジェクタは,稚魚への穿刺実験に成功し,所期の目的を達成して良好な結果を得たことは評価に値する.
|
今後の研究の推進方策 |
1)稚魚へのマイクロインジェクション穿刺システムの試作を行う. ①.高周波振動発生装置を組み込んだ穿孔システムを試作する. ②.打撃力発生装置を組み込んだ自動化マニピュレータを試作する.25年度に製作した空圧打撃型装置をコンピュータマウス制御の電動マニピュレータに取り付けて,稚魚を対象とした操作実験の実験効率向上を目指す. ③.稚魚への始原生殖細胞などのインジェクション実験を行う. 2)研究のまとめ 3年間の研究成果を取り纏めて,学会発表,投稿論文などで広く研究成果を公表する.
|
次年度の研究費の使用計画 |
装置開発が遅れ,穿刺実験回数が少なかった為,使用金額に差異が生じた. 実験回数を増やす予定である.
|