研究概要 |
本研究では,小天体表面においてさまざまな場所に点在する複数の目標地点に効率的に近づくことのできる移動メカニズムおよび探査手法の研究を行う. 今年度は,小惑星探査機「はやぶさ」に搭載したローバ「ミネルバ」を参考に,重力の小さい小天体表面を効率よく移動するメカニズムの検討を行った.目標地点に近づくためには,移動距離と移動方向をともに制御することが必要である.移動方向を制御するために,2つのアクチュエータを同時に動かし,そのトルク比を調整することで,所望の方向にホッピングする手法を考案した.その有効性を数学モデルに基づく,数値シミュレーションにより評価した.その結果,トルク比をうまく選択することで所望の方向へホップすることができることがわかった. 一方,小天体表面において移動距離を制御することは容易ではない.表面の摩擦および状態によって,ホッピング速度が左右されるからである.表面の摩擦を仮定すると,与えるトルクによりホップする速さとホップ角度を制御することができることがわかった.しかしながら摩擦は一定ではなく,また表面の凸凹や砂地等のような表面の変形も考慮に入れると,正確に移動距離を制御することは難しい.そこで,目標地点に到達するために,表面に沿って移動するクローリング移動について検討し,いくつかの手法を考案した. 考案した移動メカニズムを実験的に検証するために,平成25年度に落下塔を用いた無重力実験を計画している.その実験で用いるためのプロトタイプロボットを試作した.また地上でその動作を確認し,無重力実験に供することが可能であることがわかった.
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