研究課題/領域番号 |
24360102
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中村 健二 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (70323061)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 磁気ギア / トルク密度 / 効率 / 風力発電 |
研究概要 |
平成24年度においては、現有のギア比10.333の遊星型磁気ギアを考察対象として、効率とトルクの向上について検討を行った。具体的には、効率については、現有の磁気ギアが85%程度と一般的な機械式ギアと比較して低いことから、3次元電磁界解析を行うことで、損失の発生要因について詳細な検討を行った。その結果、ポールピースを保持する部材として用いたアルミニウムに対して、永久磁石回転子からの漏れ磁束が鎖交し、渦電流が発生していることが明らかになった。この結果に基づき、ポールピースを保持する部材を、非導電性かつ非磁性の樹脂であるベークライトに変更したところ、実機の最高効率が96%まで達した。これは一般的な機械式ギアの効率(約90%)を大きく上回る特性である。 次いで、トルクについても、3次元電磁界解析を用いてポールピースの形状と位置について検討を行った。その結果、ポールピースの軸長は磁石回転子と一致させた方がトルクが向上すること、またポールピースの径方向の位置についても、両ロータの中央では無く、アウターロータ側に近づけた方がトルクが向上することが明らかになった。現時点では、シミュレーションの結果のみであるが、トルク密度は約70kN・m/m^3まで達しており、当初の目標(80kN・m/m^3)に対して、ほぼ同程度を実現した。平成25年度においては、上述の結果に基づいて改良した磁気ギアについて、実証実験を行う予定である。 また平成24年度においては、本研究の最終目標である小型風力発電機の製作と実証試験の準備も進めた。具体的には、定格容量が約1.0~2.0kWの垂直軸型の風車を設置し、電気・信号配線の設置と測定装置の準備を行った。ほぼ今年度で準備は完了したことから、平成25年度においては、まず小型風力発電に良く用いられる標準的なコアレスの永久磁石発電機を用いて、基準となる発電特性を計測する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画の遊星型磁気ギアの最適設計については、トルクと効率を向上させる設計指針を明らかにすることができたので、計画通りである。これに加えて、最終年度に計画していた小型風力発電の設置等の準備を進めることができたため、当初の計画以上に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画通り、磁気ギア内臓発電機の動作解析と試作試験を行う予定である。 また、今年度前倒しで設置した小型風力発電について、標準的なコアレスの永久磁石発電機を用いた場合の発電特性を測定する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額と合わせ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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