研究課題/領域番号 |
24360103
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
宮城 大輔 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10346413)
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研究分担者 |
津田 理 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10267411)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | CIC導体 / 超電導コイル / 核融合装置 / 偏流 / 素線配置 / 接触抵抗 / インダクタンス |
研究概要 |
超伝導電力貯蔵装置や核融合炉用超伝導コイルに用いられる導体として,複数の細い超伝導素線を多段階に撚り合わせたケーブルを金属管に収納したケーブルインコンジット導体(CIC導体)が用いられているが,設計値に比べて超伝導特性が劣化するといった問題が確認されており,その原因究明が急務となっている。これの要因の一つとして,コンジットへの収納時に規則的な撚り線構造が崩れる「撚り乱れ」によって,外部からの変動磁場により誘起されるダイナミクスな循環電流が各素線によって大きく異なる偏流現象が考えられる。CIC導体内の素線軌跡はコンジット内に収納される際に印加される外圧により非常に複雑となり,長尺にわたり測定することは非常に困難である。そこで,我々が考案したCIC導体内の素線軌跡推定手法により得られた素線軌跡に対し,実験により得られた素線間の接触抵抗を用いて超電導マグネットの簡易運転モデルにおけるダイナミクスな循環電流分布を解析した。その結果,導体内のダイナミクスな循環電流分布は非常に不均一となることが確認された。そこで,撚りピッチの値を変化させた素線軌跡についても同様にダイナミクスな循環電流分布を解析したところ,電流分布の不均一性が抑えられるとともに,周期性が表れることがわかった。さらに,導体内のダイナミクスな循環電流分布は,撚りピッチの大きさだけではなくその組み合わせに大きく依存し,各次数の撚りピッチの最小公倍数が小さい導体構造がダイナミクスな循環電流分布の不均一性を抑制できることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
CIC導体内部の撚り乱れを考慮したダイナミクスな電流分布の評価とダイナミクスな電流分布に伴う電磁力の評価を中心に研究を行ったが,ダイナミクスな電流分布を求める解析モデルの構築に多くの時間を要し,また,既存のCIC導体では,コイル励磁時に印加される磁場により生じるダイナミクスな電流分布が非常に不均一な特性を示したため,その原因と不均一性の改善手法の検討を行い,電磁力に関する検討が十分に行えなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の成果であるコンジット化に伴う撚り乱れや素線間の接触状況の違いを考慮して求めたダイナミクスな素線間電流分布結果を用いてCIC導体内部の各素線に印加される局所的な電磁力の定量的な評価を中心に研究を行う。ダイナミクスな電流分布による電磁力の不均一性が素線のキンク変形現象を引き起こす要因になりえるかの検討を行う。また,我々が提案している素線軌跡推定法では,撚りピッチとその組み合わせが素線軌跡を支配的に決定する手法としていたが,実際にはコンジット内に押し込められる際に,導体長手方向の引張り応力の違いが素線軌跡に影響を及ぼすと考えられる。そのため,撚りピッチの組み合わせのみではなく長手方向の引張り応力が素線軌跡に及ぼす影響について検討を行い,長手方向の引張り応力がダイナミクスな電流分布および局所的な電磁力に及ぼす影響についても検討を行う。また,素線のキンク変形現象に大きく起因する構造パラメータの検討を行い,高磁界下大電流通電時における素線のキンク変形現象を防ぐ導体の構造について検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度の研究を効率的に推進したしたことに伴い発生した未使用額である。 次年度使用額は,今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成26年度請求額とあわせ,平成26年度の研究遂行に使用する予定である。
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