研究課題/領域番号 |
24360104
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
藤田 英明 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (40238580)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 系統連系変換器 / 小水力発電 / 交流インダクタ / 交流直接変換 |
研究概要 |
平成25年度は,変換器主回路の試作を完了し,実験により交流インダクタを用いない新しい電力変換器の動作特性を確認した。 まず,平成24年度には,設計した主回路から使用するスイッチング素子等を変更し,本研究課題の交流インダクタを用いない新しい電力変換器の主回路を試作した。試作した主回路を制御回路に接続して,動作確認を行った。従来のPWM制御とは異なり,位相制御を適用した新しい制御アルゴリズムを適用し,交流インダクタを用いることなく系統連系を可能にする。本年度は,制御回路として,これまで研究室で種々の系統連系変換器に使用した実績のある高速ADコンバータ,FPGA (Field Programmable Gate Array) およびCPUボードで構成した制御回路を用いた。従来の交流インダクタを接続した回路構成と本研究課題の交流インダクタを用いない回路構成の動作特性を比較するため,FPGAのプログラムを変更することにより,従来のPWM制御と新しい位相制御の両者を実行可能にした。試作回路の動作確認では,発電機の代わりに負荷抵抗器を,系統の代わりに直流電源装置を接続し,従来の三相PWMインバータと同様の制御により,パワーコンディショナとは逆向きの電力フローにより動作を確認した。この際,本研究課題の交流インダクタを用いない回路構成では,故障時の系統電流を制限するインピーダンスが低く,実験時の安全を確保するため,過電圧・過電流などに対する保護機能の有効性を確認した。 次に,表面磁石形の永久磁石同期発電機を接続し,系統の代わりに単相負荷抵抗器を使用して制御特性を確認した。交流インダクタを用いない新しい電力変換器は,発電機の回転数に応じて適切な発電機電流の周波数と位相を検出してフィードバック制御を行う。予め測定した発電機の基本定数を用いて制御を行い,単相交流出力が得られることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度は,スイッチング素子の変更などを行ったため,主回路の試作を完了していなかった。本年度の回路の変更では,大幅な改造を行うことなく,スイッチング素子のみを変更できるように工夫した結果,前年度の遅れを取り戻し,ほぼ予定通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,当初の予定通りに,交流インダクタを用いない新しい電力変換器を低圧の系統に連系し,動作特性を評価して行く予定である。本年度の抵抗負荷を用いた試験では,想定していない動作波形が現れることが分かっている。これについては,回路シミュレーションを活用することにより解明する予定である。また,実際の発電機の起電力は不平衡であるため,原理的な特性を評価する上では不都合であり,発電機の代わりに交流電源装置を用いて評価を行うことも現在検討中である。
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