平成26年度は,交流インダクタを用いない新しい電力変換器について,実験とシミュレーションを活用することにより,系統連系を行った場合の動作特性を評価した。 平成25年度に試作した交流インダクタを用いない新しい電力変換器を単相系統に連携して定常状態における基本的な動作特性を確認した。実験では,14極,3600rpm,130V,420Hzの表面磁石形の永久磁石同期電動機を使用し,100V,50Hzの系統へ連携した。まず,シミュレーションにより,平成25年に開発した電圧制御方式を応用して,系統電流を制御する新しいアルゴリズムを開発した。系統連系を行った場合,約400Hzの高調波電流が系統へ流出し,系統電流波形が歪む現象を確認した。シミュレーションを用いて解析を行った結果,この電流ひずみは,試作した電力変換器のフィルタキャパシタと系統側のインダクタンスとの間の共振現象であることを明らかにし,シミュレーションにより,この共振現象をダンピングする新しい制御法を開発した。ダンピング制御を制御回路に実装した結果,共振に伴う電流波形歪を抑制できることを確認した。 また,発電機の内部モデルを解析し,電流制御は,発電機の正相電流に対する安定性に比べて,零相電流に対する安定性が低いことを理論的に明らかにし,α-β-0変換を適用した新しい電流制御法を開発し,電流制御系の安定性を改善した。 さらに,発電機の回転速度を低減した場合の昇圧効果を確認した。約1200rpm程度まで発電機の回転速度を低減しても,3600rpm時と同様に100V一定の出力電圧が得られることを確認した。
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