研究概要 |
予備研究の結果に基づき,MOSFETを用いた10段式LTDシステムを構築し,評価実験を行った。その結果,以下の研究成果が得られた。 1)充電電圧900Vの場合,約9kVのピーク出力が得られ,LTD方式による電圧重畳を確認した。これにより,原理上電圧勾配(約1kV/cm)を証明した。 2)負荷抵抗50オームに対して,約180Aのピーク電流を出力し,最大出力電力約1.6MWが得られた。パルス電源の大きさを考えると,実用的特徴を明らかにした。 3)出力電圧の立ち上がりと立ち下がり時間は約30~40ns程度,パルス幅は40~200nsの範囲で可変である。繰り返し周波数1kHzで動作した。 4)光信号制御を用いて,各モジュールの動作遅延時間を自由に変えることができ,これを用いて出力波形の成形が可能となる。 LTD方式によるパルスパワーの発生研究は数年前から行われてきたが,本研究は半導体パワーデバイスを用いて小型LTDを開発する初めての試みである。半導体スイッチの特性を活かした出力波形制御は本研究の特徴である。初年度の実験結果は,この重要な点について確認ができ,今後の研究計画の推進に対して順調なスタートとなった。
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