研究課題/領域番号 |
24360109
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
櫻井 庸司 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80452217)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 二次電池 / ポスト・リチウムイオン電池 / カルシウムイオン電池 |
研究概要 |
今年度は、ポスト・リチウムイオン電池として期待されるカルシウムイオン電池実現に必須な新規電極材料の探索・検討を行った。具体的には、当初の研究実施計画に従って、下記に示す正極材料,負極材料の合成手法の検討ならびにそれらの物理化学特性・電気化学特性の評価を行った。またこれに加えて、Ca/Ca^<2+>系可逆参照極の作製を目的とした新規電極の構成/基礎評価を行った。 1.正極材料の検討 正極材料として、結晶骨格の次元性が異なる各種カルシウムイオン含有無機化合物を検討した。これらの材料の中で特に、これまで報告例のない2次元層状構造を有するCa_xCoO_2をNaCoO_2のNa+/Ca2+イオン交換により合成するプロセスの検討に注力した。その結果、Ca_xCoO_2(x≒0.5)の合成に成功し、X線回折・XPSによって単一相が得られたことを確認したうえで行った電気化学特性評価により、充放電に伴ってCa2+イオンが予想通り脱離/挿入していることが明らかになった。 2.負極材料の検討 負極材料に要求される低電位が期待できる材料として、3次元骨格構造中にCa2+イオンを格納し得るチタン系複合酸化物を合成した。また、層間距離が広くかつ構造中にナノボアが存在するハードカーボンについては、予想に反して高電位で還元反応が観測されたため、その反応の詳細について今後解析を進める必要がある。 3.参照極の検討 Na-β"アルミナのNa^+/Ca^<2+>イオン交換反応により、目的物であるCa^<2+>イオン伝導性Ca-β"アルミナを得ることに成功した。この粉末をペレット化したディスク片面に集電体としてPtをスパッタした新規電極により、当初の狙い通り、電解液中のCa^<2+>イオンがCa-β"アルミナディスクを通過してPt面に到達していることがXPSによって確認された。この結果より、Ca/Ca^<2+>可逆参照極の実現可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的であるカルシウムイオン電池実現に必要な正極,負極,参照極それぞれの材料合成・評価が、研究実施計画に従っておおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究により各種電極の新規材料を見出すことができたが、反応機構解析・特性改良など今後さらに検討を深める必要がある。また参照極の検討において、電極抵抗低減を図るために固体電解質の薄膜化が必要であることが明らかとなったため、次年度は新たにエアロゾルデポジション法による成膜装置(AI)装置)の導入/実験を進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初購入を予定していた特注電解液が試薬メーカーの事情で入手不可能となり次年度使用の助成金が生じたが、一方で、今後の推進方策の項で記載したAI)装置整備の必要性が浮上したため、来年度の研究費と合わせてこのAD装置購入費用に充当する計画である。
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