高温動作が可能なダイヤモンド高出力FETの実現を目標とした4か年計画の第4年目である平成27年度は、以下の研究を行った。 (1) ダイヤモンドスイッチングデバイス性能予測:試作したディープディプレション型MESFETに対して、閾値電圧から求めたドリフト層ドーピング濃度および設計値を用いてTCADによるシミュレーションを行った。この結果、1.5kVの破壊電圧に対してゲート電極のドレイン端には10MV/cm以上の最大電界が印加されていることが予想された。また、一般に用いられているアバランシェパラメータを用いると、シミュレーションによるブレークダウン電圧は実験的に得られているブレークダウン電圧よりも小さいことが分かった。高耐電圧化にはFPなどのゲート電界緩和構造が必要である。 (2) ダイヤモンドスイッチングデバイス要素技術開発:高出力化のためゲート幅の大型化を行った。まずドレイン電極をAuワイヤでボンディング接続する方法を行い、9.4mmまでゲート幅を拡張する方法をテストした。ソース・ドレインコンタクト下には選択成長によるp+層を形成し、コンタクト抵抗の低抵抗化を行った。さらに、Al2O3およびSiO2を層間膜として同じ面積で30mm以上までのゲート幅拡張をテストした。この手法ではゲート幅効率は0.15m/cm2であり、さらなる大型化には縦型構造が必要である。 (3) ダイヤモンド高温パワーデバイス試作:試作した9.4mmゲート幅素子にて150℃にて最大ドレイン電流が得られ、28mAまでの実電流を得た。
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